脳内ライブラリアン

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医療、統計、哲学、育児・教育、音楽など、学んだことを深めて還元するために。

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現代数理統計学の基礎 5章 問10(2)

続いて分布収束の問題です。 不偏分散と母分散を用いた式が分布収束することを示す問題ですね。 パッとみた感じ、(1)で示したように不偏分散の期待値が母分散と一致しており、分散がでしたので、中心極限定理を使えばいけそうな雰囲気がします。 不偏分散…

現代数理統計学の基礎 5章 問10(1)

さて、戻りまして5章の問題をぼちぼち解いていきます。 統計応用の方も対策を進めたいので、並行してやっていきたいところですね。 問10は確率収束、分布収束の問題です。 まずは(1)から。 (1)はn→∞のとき、不偏分散が母分散に確率収束することを示す問…

現代数理統計学の基礎 7章 問10(3)

さて、(3)は一様最強力不偏検定を示す問題です。 公式の解答を見ると が一様最強力不偏検定である から唐突に始まってます。 それを導出していくというより、これが一様最強力不偏検定であることを示す感じになってますね。問題の意図がそれでいいならまあ…

不偏検定とその証明についてできるだけわかりやすく【統計検定1級対策】

今回は初見では意味が分かりづらかった不偏検定、一様最強力不偏検定とその証明について、正規分布の場合を例に記事にまとめておこうと思います。 不偏検定とは? 不偏検定(unbiased test)とはざっくり言うと、仮設検定のうち、以下の条件を満たすものを指し…

現代数理統計学の基礎 7章 問10(2)

7章問10は一様最強力検定が存在しないことを示す問題です。 複合仮説でも片側検定であれば、成り立ち得ますが、両側検定だと成り立たないことは本書中でも、棄却域を示す式が異なることで説明されていました。同様の方法で示します。 まず、対立仮説はのとき…

iPad Air 4を買って2ヶ月経過したので感想でも

さて、11月に初代iPad airからiPad air 4への大幅な変更を果たしたのですが、使い勝手が最高すぎるので、改めて使用感を書いてみます。 medibook.hatenablog.com 新しい機器が出るたびにテック系のサイトでレビューってよくあるんですけれど、あんまり具体的…

現代数理統計学の基礎 7章 問10(1)

このところ淡々と問題をやり続けてます。次は問10。 今回は正規分布を使った複合仮説の仮設検定ですね。 まず今までの7章の問題と同様に帰無仮説をとして尤度比検定(=最強力検定)を求めます。 まず正規分布における尤度関数は そして対数尤度関数は 正規…

現代数理統計学の基礎 7章 問9(2)

問9(2)ですが、問4と同じような感じで棄却域を広げていきます。 現代数理統計学の基礎 7章 問4 - 脳内ライブラリアン まずは帰無仮説をと固定します。 次に場合わけ。 ①のとき 尤度比は1となってしまうので成立せず。 ②のとき (1)の式と同様にしてにを入れ…

現代数理統計学の基礎 7章 問9(1)

現代数理統計学の基礎、7章の問9です。 指数分布において、最強力検定=尤度比検定を求める問題ですね。「指数分布=ガンマ分布の特殊形」であることが問題を解くのに役立ちます。 まず尤度関数は 今回は帰無仮説も対立仮説もλ=定数と決まってますので、尤…

超急性期脳梗塞における血栓回収vs血栓回収+t-PA(アルテプラーゼ)のRCTたち【JAMA/NEJM】

久々に脳神経内科・脳外科専門の話題を書きます。 つい先日1月19日付でJAMAに(しかもJAMA Neurologyとかでもなく)脳梗塞に対する脳血栓回収vs脳血栓回収+tPA療法のRCTが2本載ってました。しかも1本は日本発。 以前にNEJMに同様の論文が載ってましたが、今…

現代数理統計学の基礎 7章 問8(3)

(3)は尤度比検定を求める問題ですね。 まず尤度比を求めます。公式の解答は一発の式変形で何が何やらわかりませんが、もう少し詳しく見てみます。 ここで、(2)の結果より となりますので、これとを代入して よって、ここに−2logをつければ となり、尤度…

現代数理統計学の基礎 7章 問8(2)

問8の(2)をやります。最尤推定量の問題です。 まず、αの最尤推定量は尤度関数と条件から決まります。 (1)で見たように、条件からαはX>αでないといけないので となります。 同時確率密度関数は ですので、αができるだけ大きければ尤度も大きくなることが…

現代数理統計学の基礎 7章 問8(1)

最近論文やら発表やらが溜まり気味であんまり更新する余裕がありません、、。そして、今年は人事異動で仕事も増える+神経内科専門医試験もあるので、統計検定1級に受かる自信がじわじわ削がれるわけですが。 ひとまず、あんまり細かく考えずに書ける記事を…

現代数理統計学の基礎 7章 問7(3)-ガンマ分布とベータ分布の関係性-

引き続いて、問7(3)です。 (2)で出てきたZがどんな分布になるかという問題。 公式の解答では当然のごとく、ガンマ分布に従う確率変数X、Yであればとなっています。 せっかくなので証明をやってみます。 まずは変数変換を用います。 とします。 すると と…

現代数理統計学の基礎 7章 問7(1)(2)

代表的な確率分布の特性についてまとめおわったところで、問7です。 確率分布の特徴と関連するので、記事を参考にしながらご覧ください。 medibook.hatenablog.com まずは(1) 指数分布の確率関数の和の分布を求める問題ですね。 指数分布はガンマ分布の特…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅤ -RMST法(Restrictive Mean Survival Time)-

昨年11月NEJM誌に出た「生体弁に対するDOAC vs ワーファリン」のランダム化比較試験を読みました。 Rivaroxaban in Patients with Atrial Fibrillation and a Bioprosthetic Mitral Valve ここで使われていた生存時間解析の方法はいつものCox比例ハザード回…

代表的な確率分布を覚えやすいようにまとめてみる②-連続型・標本分布-【統計検定1級対策】

前回に引き続いて統計検定1級に出てきやすい連続型確率分布・標本分布について、関係性と式を簡単にまとめてみます。 前回の記事はこちら medibook.hatenablog.com 図にしてみる 各分布の式など ①連続一様分布 ②コーシー分布 ③正規分布 ④対数正規分布 ⑤多変…

ワイブル分布の期待値と分散【統計検定1級対策】

別記事で代表的な確率分布についてまとめていますが、文量が増えそうなのでワイブル分布の平均と分散の計算はここでまとめてみます。 そういえばワイブル分布については今までほとんど問題も解いたことなかったですし、馴染みがあまりありませんでした。 ワ…

代表的な確率分布を覚えやすいようにまとめてみる①-離散型-【統計検定1級対策】

明けましておめでとうございます。 さて、今年も統計の勉強記事からあげていきます。 統計検定1級において確率分布は基本事項として問題を解く際に前提知識として必要なことも多いですが、その特徴自体が問題として問われることもあります。 しかしながら、…

2020年を振り返って

さて、2020年も残すところ、あと2日ですね。 ブログの更新に真面目に取り組み出して、1年経ちました。この1年のことを振り返ってみようと思います。 統計を独学で勉強し出して1年半経った ふと統計検定1級を受けることを思い立って、はや1年半以上経ちました…

マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる⑤

ハイデガーの『存在と時間』について、内容をさらに進めていきます。今回は本来的/非本来的存在・頽落についてとそれを構成する気分・了解・語りについてです。 目次: 内存在の構成を詳しくみていく 「気分・了解・語り」とは ①気分 ②了解 ③語り 本来性と非…

TEDの動画で英語学習⑦-James Zucker: How do you know you exist

www.ted.com 聞き取りにくかった単語/解説 demolishing all his preconceived notions and opinions 信じられていた意見や概念を全て解体する diabolical 悪魔の、極悪非道な deceiver 詐欺師 dupe からかう、騙す wearily 疲れ切って demolishは解体する、…

不安をあおるだけの新型コロナウイルスのニュースにウンザリしている話

今日のニュースでこんな記事が。 変異のコロナ 世界で影響拡大 専門家「国内入る前提で対策を」 | 新型コロナウイルス | NHKニュース 感染力7割増し、欧州各国でもコロナ変異株 英国から [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル 内容を読んでいくと、「スパ…

現代数理統計学の基礎 7章 問6

7章問6は分散の異なる二つの正規分布における尤度比検定とその棄却域の問題です。 1問目は分散の比をλとして、単純仮説の尤度比検定を求めていきます。 まず帰無仮説下において、となります。 ここでの最尤推定量を求めていくと、対数尤度関数を微分して と…

診断研究を臨床に用いる際の注意点 -spectrum biasとverification bias-

臨床推論を考える上で欠かせないのが、感度・特異度/陽性尤度比・陰性尤度比を調べる診断研究です。そこに関わるspectrum bias(スペクトラムバイアス)とverification bias(検証バイアス)について、日本語で調べてもあまりネットにまとまって載っていなか…

認知症の診断から運転免許証の停止の流れについて思うこと

先日、第39回日本認知症学会学術集会がありました。 会場には行かず、オンデマンド配信を利用して動画を見まくっているんですけども、これ便利ですよね。正直学会に行っても、あんまり発表を長い間聞く集中力がないタイプなので(気付いたら意識を失っている…

マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる④

前回までは、事物の存在について書いてきたので、続いては自分以外の人の存在についての話を書いていきます。 前回までの記事はこちら medibook.hatenablog.com medibook.hatenablog.com medibook.hatenablog.com 目次: 他者と事物の存在の共通点と相違点 …

【mechanism】機序【医学論文の英語表現】

論文の書き直しを進めているので、英語表現についての記事をまた進めていきます。 目次: 単語の意味と共起表現、クラスター 用例 単語の意味と共起表現、クラスター 日本語にもそのままなっていますが、メカニズム・機序という意味ですね。コーパスではfor,…

医学統計を勉強していく上で、何が正しいのかよく分からなくなってくる話

研修医の先生と抄読会をしていく中で、論文内の統計的な内容について批判的な話をしていると(例えばprimary outcomeがソフト/ハードエンドポイントがぐちゃぐちゃに混合されてるとか)こんな風に言われました。 「統計的に確実なものっていうのを考えていく…

マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる③

前回は事物の存在が、ざっくり言えば、周囲のものとの関係性と自分のその都度の扱い方の中でつくられる話を書きました。距離だとか場所を表す空間の認識について、同様の捉え方ができることについて書いていきます。 前回記事はこちら medibook.hatenablog.c…