脳内ライブラリアン

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医療、統計、哲学、育児・教育、音楽など、学んだことを深めて還元するために。

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2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方② -バイアスリスクについて(risk of bias)-

前回記事はこちら ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い- - 脳内ライブラリアン 引き続きメタ解析の読み方について紹介していきます。 目次: バイアスリスク 報告バイアス(reporting bias) ①F…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い-

以前は生存時間解析の論文を、ロジスティック回帰分析やハザード回帰分析の詳細をみつつ紹介しました。 medibook.hatenablog.com 次はエビデンスでいうと最も信頼性が大きく強いメタ解析(meta-analysis)について書いてみます。 一番強いエビデンスでありなが…

脳波について自習してみる③ -突発性の異常(正常亜型)-

脳波の自習まとめを引き続き暇あればやってます。 前回記事はこちら 脳波について自習してみる② -非突発性徐波- - 脳内ライブラリアン 今回は突発性の異常所見のなかで正常亜型について。 これが一番難しいと思うんですよね、、、。アーチファクトとの見分け…

仮説検定とp値の定義式【統計検定1級対策】

今は過去問を地道に解いているところですが、P値と仮説検定の問題をやっていたら、式だけ見ていると混乱してくるので一度まとめてみます。P値の意味はある程度わかるけど、数式になると混乱しちゃうよっていう人向けです。 P値の定義について分かり易く説明…

論文のデータや図表をブログに引用する際の注意

昨日は著作権に関する本を紹介しました。医学系のブログで論文の図や表、データなどが貼り付けられつつ、まとめられている記事をよく見るのですが、前々から疑問だったのは「これって著作権的によいのか?」という点です。医学に限らず論文・書籍などの図表…

医学の発表・記事・論文書くなら一度は読みたい著作権の本「医療従事者のギモンに答える!トラブルに巻き込まれない著作権のキホン」

医師が弱い3つの分野をご存知でしょうか。 それは政治、経済、法律です。(※あくまで個人の見解です) 医師というのはどうしても学ぶことが無限にある医学に勉強分野が偏らざるを得ないので、他のことを学んでいる余裕がないことがおおいです。よく病院にも…

世界史というよりは貨幣の”多面的”な歴史「貨幣の『新』世界史」

今日は書評です。普段本はkindleか、hontoなどの電子書籍で買っているのですが、経済関連の本を色々買っていたら、hontoからお勧めされたのがこの一冊。 貨幣の「新」世界史──ハンムラビ法典からビットコインまで (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者:カ…

プロ患者と医師の違いから考える独学の話

正式な用語ではないのですが、罹病期間が長い病気にかかられている方、繰り返しやすい病気にかかっている方は自身の病気について下手な医師よりも詳しくなることがあり、”プロの患者”となることがあります。 神経内科でいうと免疫関連の疾患(多発性硬化症、…

”仕事に追われる”のではなく”仕事を追う”ようになる本「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」

仕事を締め切りに間に合わせる、って単純な目標ですが意外とうまくいかないことも多いです。時間の節約術を説いた本は数多くありますが、シンプルな方法でお勧めしたいのはこの一冊です。 なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である 作…

WEB・ブログのアクセス数を上げるライティング本「沈黙のwebライティング」

自分が勉強したことのうち、ネットにあまりまとめられていないこと、専門的過ぎて説明がわかりにくいものを少しずつ記事にして、自分の記憶への定着を進めるかつ、人の役に立てば、というのが当ブログの主旨のつもりでやっております。 そんな当ブログも最近…

プロスペクト理論④-確率加重関数-【日常生活に活かす行動経済学の使い方】

プロスペクト理論の話は次で一通りおしまいにしようと思ってますが、今回は「確率加重関数」のお話です。 患者さんと治療や検査の話をするときに、検査のリスクや治癒する確率とかお話することが多々あるのですが、これを知っておくと確率が通常人にどう解釈…

行列が苦手すぎる人向けの重回帰分析における最小二乗法【統計検定1級対策】

行列計算がとにかく苦手です。 解説の式をみていると普通の計算式と同様にいかない点が多すぎて、ルールの確認に奔走してしまいます。あと、行列式とかトレースとか転置行列とか冪等行列とか特殊なやつもよくわかりません。 ただ、統計の勉強をしていると重…

プロスペクト理論③-損失回避-【日常生活に活かす行動経済学の使い方】

おはようございます。 今日は引き続き、行動経済学の話を書いていこうと思います。 今回は「損失回避」について。 プロスペクト理論①-確実性効果-【日常生活に活かす行動経済学の使い方】 - 脳内ライブラリアン プロスペクト理論②-参照点依存性-【日常生活に…

プロスペクト理論②-参照点依存性-【日常生活に活かす行動経済学の使い方】

おはようございます。 統計の勉強に行き詰まりを感じつつ、ちょっと逃げるように行動経済学の話を書きます。日常生活やビジネスに活かせるような話をまとめていきます。 引き続きプロスペクト理論についてです。 前回は理論の核となるもののうち、「①確実性…

不正を少しでも減らすためには「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」

今日は書籍紹介します。 ずる 嘘とごまかしの行動経済学 作者:ダン アリエリー,櫻井 祐子 発売日: 2013/01/25 メディア: Kindle版 前に行動経済学者のダン・アリエリーの本を読みましたが、今回は同じ著者が「ずる」「不正」について行動経済学の観点から書…

スコア関数~フィッシャー情報量~クラメール・ラオの下限を復習【統計検定1級対策】

さて、今日も今日とて統計学の勉強を続けています。 今回は前回記事で使った問題をネタにクラメール・ラオの下限を求める小問をやろうと思ったのですが、、「解答がおかしい・・・。」ということに気づいたので(自分のミスかもしれませんが)愛用の「現代数…

マルコフの不等式~チェビシェフの不等式~大数の弱法則を復習【統計検定1級対策】

最近は統計検定1級の教本をみながら問題を解きつつ範囲の確認をしています。 日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学 作者:二宮嘉行,大西俊郎,小林 景,椎名 洋,笛田 薫,田中研太郎,岡田謙介,大屋幸輔,廣瀬英雄,折笠秀樹 発売日: 2013/04/08 メディア: …

脳波について自習してみる② -非突発性徐波-

引き続き脳波で勉強した内容を書いてみます。 前回記事はこちら。 脳波について自習してみる① -優位律動 正常・異常- - 脳内ライブラリアン 優位律動の次は持続性にみられる徐波についてです。 非突発性徐波 δ波 0.5-4Hzθ波 4-8Hz によって形成される。 ①周…

瞑想アプリ「headspace」を30日間継続でき、、、なかった話

以前紹介した瞑想アプリ「headspace」ですが結局30日継続できなかった、、、というお話です。いわゆるマインドフルネスを自力でやるのをサポートしてくれるアプリなのですが、とりあえずの使用してみた実感となぜ継続できなかったかを書きます。 medibook.ha…

脳波について自習してみる① -優位律動 正常・異常-

専門である神経内科の知識はほっといても仕事で勉強しますし、知識も使うので記憶に残りますから、あまりこのブログで書いたりはしてないのですが。 ただ、普段は使ってないけど、学ばないといけない知識というのもありまして。 例えば脳波検査は勤務先だと…

イマヌエル・カントの思想④

前回までの記事はこちら イマヌエル・カントの思想① - 脳内ライブラリアン イマヌエル・カントの思想② - 脳内ライブラリアン イマヌエル・カントの思想③ - 脳内ライブラリアン 具体的な事例を通じて定言命法についてみてみようと思います。 尊敬の念を抱かざ…

グラム陰性菌菌血症の治療期間に関するRCT【JAMA】

さて、今日は専門的な内容でちょっと普段の診療に役立ちそうなものを。 昨日出たJAMAの論文です。 Effect of C-Reactive Protein–Guided Antibiotic Treatment Duration, 7-Day Treatment, or 14-Day Treatment on 30-Day Clinical Failure Rate in Patients…

イマヌエル・カントの思想③

前回までの記事はこちら イマヌエル・カントの思想① - 脳内ライブラリアン イマヌエル・カントの思想② - 脳内ライブラリアン 前回までの記事でカントが「理性」が矛盾を起こすさまをアンチノミーを用いて説明しました。つまり、「理性」は空間・時間の概念を…