脳内ライブラリアン

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現代数理統計学の基礎 7章 問7(1)(2)

代表的な確率分布の特性についてまとめおわったところで、問7です。

 

確率分布の特徴と関連するので、記事を参考にしながらご覧ください。

medibook.hatenablog.com

 

まずは(1)

指数分布の確率関数の和の分布を求める問題ですね。

 

指数分布はガンマ分布の特殊版であることに気づけば容易です。ガンマ分布は和の再生性があるため、足し合わせた結果が簡単にわかります。

 

Ex(\theta)\sim Ga(1,\theta)なので

\sum_{i=1}^n X_i\sim Ga(n, \theta)

となります。

 

※解答も本書の方もGa(1,\frac{1}{\theta})と書かれていると思いますが、二つ目のパラメータの書き方が一般的でないので、単純にθと記載します

 

同様にして

\sum_{i=1}^m Y_i\sim Ga(m, \mu)

 

 

続いて(2)。オーソドックスな尤度比検定の問題です。

 

まず尤度関数は互いに独立であるため、二つの尤度関数の積で表されます。

\theta^n\mu^mexp(-\theta\sum X_i-\mu\sum Y_i)

 

続いて、帰無仮説と対立仮説の時のMLE(最尤推定量)を求めます。

 

①まず帰無仮説が成り立つとき、尤度関数は

L=\theta^{n+m}exp\{-\theta(\sum X_i+\sum Y_i)\}

対数尤度関数にすると

logL=(n+m)log\theta-\theta(\sum X_i+\sum Y_i)

さらにパラメータθで微分して

logL'=\frac{n+m}{\theta}-(\sum X_i+\sum Y_i)

 

=0として、整理すると

\hat\theta_{MLE}=\frac{n+m}{\sum X_i+\sum Y_i}

となります。

 

②次に、対立仮説の場合

各々の最尤推定量を求めます。まず対数尤度関数は

logL=nlog\theta-\theta\sum X_i

パラメータで微分して

logL'=\frac{n}{\theta}-\sum X_i

=0として、整理すると

\hat\theta_{MLE}=\frac{n}{\sum X_i}=\frac{1}{\bar X}

\bar X=\frac{1}{n}\sum X_iとしました。

同様にして

\hat\mu_{MLE}=\frac{m}{\sum Y_i}=\frac{1}{\bar Y}

となります。

 

これで材料は出揃ったのでそれぞれの最尤推定量を尤度関数に代入し、尤度比を求めます。

 

\lambda=\frac{(\frac{1}{\bar X})^n(\frac{1}{\bar Y})^mexp\{-(n+m)\}}{(\frac{n+m}{n\bar X+m\bar Y})^{n+m}exp\{-\frac{n+m}{n\bar X+m\bar Y}(n\bar X+m\bar Y)\}}\\=\frac{(n\bar X+m\bar Y)^{n+m}}{(n+m)^{n+m}(\bar X)^n(\bar Y)^m}

 

expは綺麗に消えました。

あとは2logをつけると、カイ二乗分布に従うことを利用して、尤度比検定は

2log\lambda\\=2(n+m)log(n\bar X+m\bar Y)-2(n+m)log(n+m)-2nlog\bar X-2mlog\bar Y\\=2nlog\frac{\bar X}{n\bar X+m\bar Y}-2mlog\frac{\bar Y}{n\bar X+m\bar Y}-2(n+m)log(n+m)\\=2n\frac{Z}{n}-2m\frac{1-Z}{m}-2(n+m)log(n+m)\lt \chi_{1,\alpha}^2

となります。検定が統計量Zに従うことも示せました。

 

※公式の解答はここがZ/nではなくnZになっているのですが、何回か計算しても公式の方のミスな気がしてなりません。わかる方がいたらご教示ください。

 

(3)は次回に回します。

 

(*2021.04.25追記:指摘を頂き、最後の不等号が逆になっていたので直しました)

(*2021.10.20追記:指摘を頂き、尤度比2logλがカイ二乗分布に従う、と修正しました)