脳内ライブラリアン

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医療、統計、哲学、育児・教育、音楽など、学んだことを深めて還元するために。

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実際の医学論文から統計を学んでみるⅥ -多重検定/ボンフェローニ法/ファミリーワイズエラー率-

最近読んでみた2016年のオピカポン(オンジェンティス)の第3相試験の研究で、多重検定が含まれてましたので、紹介しつつ学習してみようと思います。 元の論文はこちら。 Ferreira, Joaquim J., et al. "Opicapone as an adjunct to levodopa in patients wi…

食塩不使用の湖池屋のポテトチップスを食べながら減塩に思いを馳せてみる

仕事帰りは腹が減っていて、かつ帰ると子どものこともあって落ち着いて食べられないので、ついつい帰り際にお菓子など買ってしまうことがあります。 先日ドラッグストアでこんなものを見つけました。 「食塩不使用 湖池屋 プライドポテト」 ポテトチップスな…

【統計応用】95%信頼区間と2標本両側t検定【統計検定1級対策】

2016年の統計応用(共通問題)でこんな問題が出てました。 「2つのデータの95%信頼区間と2標本両側t検定の有意差の関係性を調べよ」 これって医療統計本の中では屈指の出来である(と個人的に思っている)「今日から使える医療統計(新谷歩著)」*1に出てき…

YouTubeチャンネル始めました

友人と共同で医療統計のYouTubeチャンネルを始めてみました! www.youtube.com チャンネルはこちら スキマ時間で医療統計 - YouTube 一緒にYouTubeやってる人はこちら エビデンス×統計リテラシー×ライフハックをテーマに生きる人の記録-エビカツ横丁 統計に…

我が家にNASを導入してみた(Synology ds220j)

我が家にNAS(network attached strage)を導入してみました。 NASはいわば自宅で個人用に作れるクラウドみたいなものであり、PCのバックアップや録画したテレビ番組の保存、外出先でのそうしたデータの利用に大変便利です。あまりにも疎くて全然存在を知りま…

中級者から上級者になれる着実な英語の勉強法『英語独習法』レビュー

Twitterでも書きましたが、最近こちらの本を読みました。 // リンク 今までもかなり英語の学習法の本は読んできたつもりですが、認知科学をベースにした今まで見てきた英語学習法とは一線を画する内容であり、ぜひともお勧めしたいです。 というわけで、内容…

小ネタ集<コーシー・シュワルツの不等式、算術平均・幾何平均・調和平均、二項定理>【統計検定1級対策】

もともと数学は大の苦手分野なので、数学的な有名定理も全く馴染みがないのですが、統計検定の問題において必要とされることがあるので、自分向けの備忘録としてまとめておきます。 ひとまず目についたところでコーシー・シュワルツの不等式、算術平均・幾何…

内科医が知っておきたい精神科のエッセンス『状況別に学ぶ内科医・外科医のための精神疾患の診かた』

ちょっと前に楽天お買い物マラソンで買い漁った積読本を読み進めてます。 医学書なので臨床医向けですが、おすすめです。 頻度から考えると普通の内科・外科でも十分精神疾患の方に出会うと思うのですが、脳神経内科をやっていると特に多く出会うと思います…

マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる⑦

今回はようやくタイトル回収となる、存在と時間性についてみていきます。 前回までは現存在の全てを本来的な生き方で考えるには、死への不安を受け入れ、先駆的覚悟性が必要である、という話まで見ました。それはどういう条件があれば可能になるの?という話…

現代数理統計学の基礎 3章 問10

統計検定1級ですが最近は解き方を1個1個細かくみるというより、過去問をどんどん解けるように練習中です。統計応用よりも統計数理の方が範囲が定まっているのでなんだか解いていると安心するという不思議な状態になっています、、、(汗 統計応用は知らない…

心エコーを見直してみる『レジデントのための心エコー教室』レビュー

久々に医学書を買いました。 需要の少なさからなかなか感想を書く人もいないと思うので、せっかくなので感想を書いておきます。 // リンク 脳梗塞の患者さんをみるときに基本的に高齢者が多いので合併疾患があることもよくあります。慢性心不全も多いですね…

現代数理統計学の基礎 3章 問9

ポアソン分布に従う確率変数Xがλ→∞のときにが標準正規分布に収束することを証明する問題ですね。 2017年の統計検定1級の問3の最後で全く同じ問題が出ています。 お馴染みのテイラー展開を活用して解いていきます。 〜はどのような分布になるかか、という問題…

【統計応用・医薬生物学】Simonの2段階デザインについてわかりやすく【統計検定1級対策】

2017年の統計応用問3で出ていた問題が、サイモンの2段階デザイン(Simon's two-stage design)と呼ばれる、早期中止を含めた2段階のランダム化比較試験デザインでした。 抗がん剤の第2相試験で使われたりしているようですが、神経内科領域ではどうにも馴染み…

マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる⑥

久しく離れていましたが、そろそろとりあえず読み終えていきたいハイデガーの話をまた書いていきます。 前回までは現存在について重要な部分を成す気遣いと内存在が「気分」「了解」「語り」で構成され、さらにそれが本来的なものと非本来的なものに分けられ…

現代数理統計学の基礎 5章 問6

マルコフの不等式を使った問題をやってみます。 まずは(1)から。 標準正規分布に従うZに対して を証明します。 補足すると マルコフの不等式はXを非負の確率変数として と表されます。また とも言えるので、上記の1つ目の式変形ができます。 また2つ目の式…

自動開閉式ゴミ箱Zitaを買ってみた話

4月の共働きに向けて家具・家電の新調が進む我が家ですが、ゴミ箱も自動開閉式のものを購入しました。 これがまた楽で良いです。 今までは複数のゴミ箱から45L入りのゴミ袋にまとめてたんですが、子供も増えるに従って食べ残しやら食後のゴミがどうにも増え…

変数変換・平方変換・確率積分変換【統計検定1級対策】

統計検定1級で頻出なテーマである確率密度関数の変数変換、平方変換、確率積分変換についてまとめてみようと思います。 目次: 変数変換 平方変換 確率積分変換 変数変換 まずは変数変換から。 確率密度関数に従う確率変数Xに対してg(X)=Yとしたときに、Yが…

現代数理統計学の基礎 5章 問5

統計応用もやりつつ、時々統計数理のほうも解いていっています。 今回は5章の問5。 順序統計量と平方変換の両方を使う良い問題です。 まずZ=min(X, Y)なのですが、これをどう表現するか。 解答例と同様に、順序統計量としてみて、一番小さい値と考えます。 …

ティファール「クックフォーミー」とアイリスオーヤマ「電気圧力鍋」を比較してみた

統計の話題が続きすぎたので、たまには全然違う日常の話を。 4月から妻が再度働き始めることもあって、現在自宅では家事時短に向けた取り組みが粛々と進められています。 そんなわけで最近電気圧力鍋を購入しました。 「豚の角煮」をクックフォーミーで作り…

twitter始めました(今更感がすごいけど)

blogの記事にするほどではないけれど、「本の感想を書きたい」「論文の紹介をしたい」「医療関連のニュースをさらっと紹介したい」「統計検定1級の勉強の辛さを共有したい!」ということがたまにあります。 そういった内容を書きやすいので、いまさらながらt…

認知症の新薬aducanumabの話が不穏すぎるので、製薬関連の本をいくつか読んでみた

さて、最近認知症関連の話題で注目されているのはbiogenとエーザイが開発しているモノクローナル抗体、アデュカヌマブ(aducanumab)です。 アルツハイマー型認知症の治療薬として期待されており、アミロイドβを標的とした薬剤となっています。 これが今アメ…

【統計応用・医薬生物学】ノンパラメトリック法・ウィルコクソンの符号付き順位検定【統計検定1級対策】

引き続きノンパラメトリック法の検定についてみていきます。 ウィルコクソンの符号付き順位検定とは ウィルコクソンの符号付き順位検定は1標本の検定に使われるもので、対応するデータの差が正のときに1、負のときは0として(ここまでは符号検定と同じ)それ…

【統計応用・医薬生物学】ノンパラメトリック法・符号検定【統計検定1級対策】

2016年、2019年と出題されているノンパラメトリック法の検定について簡単にまとめておきます。 符号検定とは 符号検定は1標本に対して行われるノンパラメトリック検定です。ある対応するデータの差が正であれば1、負であれば0として、それをデータの数だけ足…

【統計応用・医薬生物学】RMST法の期待値と分散【統計検定1級対策】

引き続き生存時間解析の話ですが、2019年の過去問ではRMST法の問題が出ていたので、期待値と分散の導出について簡単に説明します。 RMST法ってそもそもなんやねんということは過去に一度記事を書きました。 medibook.hatenablog.com 範囲にも書いてないし、…

【統計応用・医薬生物学】Cox比例ハザードモデルと尤度関数【統計検定1級対策】

生存時間解析の勉強を進めて、今回はCox比例ハザードモデルについて過去問に対応できるように知識をつけていきたいと思います。 ハザード関数と生存関数の知識が前提に必要なので、わからなかったらこちらをどうぞ。 medibook.hatenablog.com 目次: Cox比例…

【統計応用・医薬生物学】カプラン・マイヤー推定値の信頼区間・Greenwoodの公式【統計検定1級対策】

今回はカプラン・マイヤー推定値の信頼区間を知るための分散の求め方をやってみようと思います。この分散の式はGreenwoodの公式と呼ばれています。 統計検定1級の教本にも紹介されていますし、導出の過程はほどほどの難しさなので、出題されてもおかしくはな…

【統計応用・医薬生物学】カプラン・マイヤー推定値とネルソン・アーレン推定値【統計検定1級対策】

今日も統計検定1級の統計応用・医薬生物学分野について頻出の内容をまとめてみようと思います。 追加した内容は以前まとめた記事に載せていきます。 統計検定1級の出題範囲と過去の記事・お役立ちサイト・参考書をまとめてみた【統計検定1級対策】 - 脳内ラ…

【統計応用・医薬生物学】ハザード関数と生存関数の関係性を整理【統計検定1級対策】

統計数理もだいぶ勉強は進んできたのでぼちぼち統計応用の分野の勉強も進めようかと思っています。 そこで2018−2019年の過去問をようやく買ってみて統計応用・医薬生物学分野をみてみたのですが、思った以上に難しそうでした、、、。自分の知識のばらつきか…

現代数理統計学の基礎 5章 問11

淡々とまた解いていきます。 問11は互いに独立でない場合けれど、今日分散が0に収束するときの、標本平均の確率収束を考える問題です。 他の問題でも用いられますが、確率収束を示す場合、収束する値との差を十分小さい値εを用いるか、平均二乗収束を使う方…

現代数理統計学の基礎 5章 問12

二項分布を変数変換したときの、確率収束及び分布収束の問題ですね。 今まで解答の意味がよくわからなかったのですが、確率変数がn→∞となるときにどう動くかは、前提として二項分布の母比率と標本比率の話がわかっておいた方が良さそうであることに後で気が…