脳内ライブラリアン

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現代数理統計学の基礎 7章 問10(3)

さて、(3)は一様最強力不偏検定を示す問題です。

 

公式の解答を見ると

\sqrt n|x|\gt z_{\frac{\alpha}{2}}が一様最強力不偏検定である

から唐突に始まってます。

 

それを導出していくというより、これが一様最強力不偏検定であることを示す感じになってますね。問題の意図がそれでいいならまあ仕方ないのですが、、、。

 

なので同様に、一様最強力不偏検定の示し方と先程の検定がそれで良いのかどうかを書きます。

 

昨日書いた記事はμの値を一般化したものなので、やり方は本当にほぼ一緒です。なので、コピペしまくります。

medibook.hatenablog.com

 

まず棄却域をRとして検定関数を以下で定義します。

\phi(x)=1 (x\in R)\\\phi(x)=0 (x\notin R)

一般性を失わないので、\bar X=x, n=1とします。

 

次に帰無仮説において、有意水準αを満たし、かつ対立仮説の検出力はα以上となるのでμが連続であることから以下の式が成り立ちます。

\int_{-\infty}^{\infty}\phi(x)\frac{1}{\sqrt{2\pi}}exp\{-\frac{x^2}{2}\}=\alpha

 

また、検出力関数は帰無仮説において最小値を取るため以下が成り立ちます。

\frac{d}{d\mu}\beta(\mu_0)\\=\int_{-\infty}^{\infty}\phi(x)\frac{1}{\sqrt{2\pi}}xexp\{-\frac{x^2}{2}\}=0

 

よって検出力関数を最大化するための式は、上の条件と合わせると

\int_{-\infty}^{\infty}\phi(x)\frac{1}{\sqrt{2\pi}}exp\{-\frac{(x-\mu)^2}{2}\}+a\alpha+b・0\\=\int_{-\infty}^{\infty}\phi(x)\frac{1}{\sqrt{2\pi}}exp\{-\frac{(x-\mu)^2}{2}\}-a\int_{-\infty}^{\infty}\phi(x)\frac{1}{\sqrt{2\pi}}exp\{-\frac{x^2}{2}\}-b\int_{-\infty}^{\infty}\phi(x)\frac{1}{\sqrt{2\pi}}xexp\{-\frac{x^2}{2}\}\\=\int_{-\infty}^{\infty}\phi(x)\frac{1}{\sqrt{2\pi}}[exp\{-\frac{(x-\mu)^2}{2}\}-aexp\{-\frac{x^2}{2}\}-bxexp\{-\frac{x^2}{2}]

となるので

exp\{-\frac{(x-\mu)^2}{2}\}\geq aexp\{-\frac{x^2}{2}\}+bxexp\{-\frac{x^2}{2}\}のとき\phi(x)=1

exp\{-\frac{(x-\mu)^2}{2}\}\lt aexp\{-\frac{x^2}{2}\}+bxexp\{-\frac{x^2}{2}\}のとき\phi(x)=0

 となります。

 

これを整理すると

exp\{\mu x\}\geq a'+b'xのとき\phi(x)=1

exp\{\mu x\}\lt a'+b'xのとき\phi(x)=0

となり

x\leq c, x\geq dと言えます。

 

そうすると

\sqrt n|x|\gt z_{\frac{\alpha}{2}}

有意水準αを満たし、かつμで微分すると0になります。

また、両側検定となっているので、これが一様最強力不偏検定であることが分かります。

 

 

次の問11は適合度検定の話でちょっとまた内容が違いそうなので、5章に戻ろうかと思います。