脳内ライブラリアン

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医療、統計、哲学、育児・教育、音楽など、学んだことを深めて還元するために。

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統計

【統計応用・医薬生物学】RMST法の期待値と分散【統計検定1級対策】

引き続き生存時間解析の話ですが、2019年の過去問ではRMST法の問題が出ていたので、期待値と分散の導出について簡単に説明します。 RMST法ってそもそもなんやねんということは過去に一度記事を書きました。 medibook.hatenablog.com 範囲にも書いてないし、…

【統計応用・医薬生物学】Cox比例ハザードモデルと尤度関数【統計検定1級対策】

生存時間解析の勉強を進めて、今回はCox比例ハザードモデルについて過去問に対応できるように知識をつけていきたいと思います。 ハザード関数と生存関数の知識が前提に必要なので、わからなかったらこちらをどうぞ。 medibook.hatenablog.com 目次: Cox比例…

【統計応用・医薬生物学】カプラン・マイヤー推定値の信頼区間・Greenwoodの公式【統計検定1級対策】

今回はカプラン・マイヤー推定値の信頼区間を知るための分散の求め方をやってみようと思います。この分散の式はGreenwoodの公式と呼ばれています。 統計検定1級の教本にも紹介されていますし、導出の過程はほどほどの難しさなので、出題されてもおかしくはな…

【統計応用・医薬生物学】カプラン・マイヤー推定値とネルソン・アーレン推定値【統計検定1級対策】

今日も統計検定1級の統計応用・医薬生物学分野について頻出の内容をまとめてみようと思います。 追加した内容は以前まとめた記事に載せていきます。 統計検定1級の出題範囲と過去の記事・お役立ちサイト・参考書をまとめてみた【統計検定1級対策】 - 脳内ラ…

【統計応用・医薬生物学】ハザード関数と生存関数の関係性を整理【統計検定1級対策】

統計数理もだいぶ勉強は進んできたのでぼちぼち統計応用の分野の勉強も進めようかと思っています。 そこで2018−2019年の過去問をようやく買ってみて統計応用・医薬生物学分野をみてみたのですが、思った以上に難しそうでした、、、。自分の知識のばらつきか…

現代数理統計学の基礎 5章 問12

二項分布を変数変換したときの、確率収束及び分布収束の問題ですね。 今まで解答の意味がよくわからなかったのですが、確率変数がn→∞となるときにどう動くかは、前提として二項分布の母比率と標本比率の話がわかっておいた方が良さそうであることに後で気が…

現代数理統計学の基礎 5章 問10(2)

続いて分布収束の問題です。 不偏分散と母分散を用いた式が分布収束することを示す問題ですね。 パッとみた感じ、(1)で示したように不偏分散の期待値が母分散と一致しており、分散がでしたので、中心極限定理を使えばいけそうな雰囲気がします。 不偏分散…

現代数理統計学の基礎 5章 問10(1)

さて、戻りまして5章の問題をぼちぼち解いていきます。 統計応用の方も対策を進めたいので、並行してやっていきたいところですね。 問10は確率収束、分布収束の問題です。 まずは(1)から。 (1)はn→∞のとき、不偏分散が母分散に確率収束することを示す問…

現代数理統計学の基礎 7章 問10(3)

さて、(3)は一様最強力不偏検定を示す問題です。 公式の解答を見ると が一様最強力不偏検定である から唐突に始まってます。 それを導出していくというより、これが一様最強力不偏検定であることを示す感じになってますね。問題の意図がそれでいいならまあ…

不偏検定とその証明についてできるだけわかりやすく【統計検定1級対策】

今回は初見では意味が分かりづらかった不偏検定、一様最強力不偏検定とその証明について、正規分布の場合を例に記事にまとめておこうと思います。 不偏検定とは? 不偏検定(unbiased test)とはざっくり言うと、仮設検定のうち、以下の条件を満たすものを指し…

現代数理統計学の基礎 7章 問10(2)

7章問10は一様最強力検定が存在しないことを示す問題です。 複合仮説でも片側検定であれば、成り立ち得ますが、両側検定だと成り立たないことは本書中でも、棄却域を示す式が異なることで説明されていました。同様の方法で示します。 まず、対立仮説はのとき…

現代数理統計学の基礎 7章 問10(1)

このところ淡々と問題をやり続けてます。次は問10。 今回は正規分布を使った複合仮説の仮設検定ですね。 まず今までの7章の問題と同様に帰無仮説をとして尤度比検定(=最強力検定)を求めます。 まず正規分布における尤度関数は そして対数尤度関数は 正規…

現代数理統計学の基礎 7章 問9(2)

問9(2)ですが、問4と同じような感じで棄却域を広げていきます。 現代数理統計学の基礎 7章 問4 - 脳内ライブラリアン まずは帰無仮説をと固定します。 次に場合わけ。 ①のとき 尤度比は1となってしまうので成立せず。 ②のとき (1)の式と同様にしてにを入れ…

現代数理統計学の基礎 7章 問9(1)

現代数理統計学の基礎、7章の問9です。 指数分布において、最強力検定=尤度比検定を求める問題ですね。「指数分布=ガンマ分布の特殊形」であることが問題を解くのに役立ちます。 まず尤度関数は 今回は帰無仮説も対立仮説もλ=定数と決まってますので、尤…

現代数理統計学の基礎 7章 問8(3)

(3)は尤度比検定を求める問題ですね。 まず尤度比を求めます。公式の解答は一発の式変形で何が何やらわかりませんが、もう少し詳しく見てみます。 ここで、(2)の結果より となりますので、これとを代入して よって、ここに−2logをつければ となり、尤度…

現代数理統計学の基礎 7章 問8(2)

問8の(2)をやります。最尤推定量の問題です。 まず、αの最尤推定量は尤度関数と条件から決まります。 (1)で見たように、条件からαはX>αでないといけないので となります。 同時確率密度関数は ですので、αができるだけ大きければ尤度も大きくなることが…

現代数理統計学の基礎 7章 問8(1)

最近論文やら発表やらが溜まり気味であんまり更新する余裕がありません、、。そして、今年は人事異動で仕事も増える+神経内科専門医試験もあるので、統計検定1級に受かる自信がじわじわ削がれるわけですが。 ひとまず、あんまり細かく考えずに書ける記事を…

現代数理統計学の基礎 7章 問7(3)-ガンマ分布とベータ分布の関係性-

引き続いて、問7(3)です。 (2)で出てきたZがどんな分布になるかという問題。 公式の解答では当然のごとく、ガンマ分布に従う確率変数X、Yであればとなっています。 せっかくなので証明をやってみます。 まずは変数変換を用います。 とします。 すると と…

現代数理統計学の基礎 7章 問7(1)(2)

代表的な確率分布の特性についてまとめおわったところで、問7です。 確率分布の特徴と関連するので、記事を参考にしながらご覧ください。 medibook.hatenablog.com まずは(1) 指数分布の確率関数の和の分布を求める問題ですね。 指数分布はガンマ分布の特…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅤ -RMST法(Restrictive Mean Survival Time)-

昨年11月NEJM誌に出た「生体弁に対するDOAC vs ワーファリン」のランダム化比較試験を読みました。 Rivaroxaban in Patients with Atrial Fibrillation and a Bioprosthetic Mitral Valve ここで使われていた生存時間解析の方法はいつものCox比例ハザード回…

代表的な確率分布を覚えやすいようにまとめてみる②-連続型・標本分布-【統計検定1級対策】

前回に引き続いて統計検定1級に出てきやすい連続型確率分布・標本分布について、関係性と式を簡単にまとめてみます。 前回の記事はこちら medibook.hatenablog.com 図にしてみる 各分布の式など ①連続一様分布 ②コーシー分布 ③正規分布 ④対数正規分布 ⑤多変…

ワイブル分布の期待値と分散【統計検定1級対策】

別記事で代表的な確率分布についてまとめていますが、文量が増えそうなのでワイブル分布の平均と分散の計算はここでまとめてみます。 そういえばワイブル分布については今までほとんど問題も解いたことなかったですし、馴染みがあまりありませんでした。 ワ…

代表的な確率分布を覚えやすいようにまとめてみる①-離散型-【統計検定1級対策】

明けましておめでとうございます。 さて、今年も統計の勉強記事からあげていきます。 統計検定1級において確率分布は基本事項として問題を解く際に前提知識として必要なことも多いですが、その特徴自体が問題として問われることもあります。 しかしながら、…

現代数理統計学の基礎 7章 問6

7章問6は分散の異なる二つの正規分布における尤度比検定とその棄却域の問題です。 1問目は分散の比をλとして、単純仮説の尤度比検定を求めていきます。 まず帰無仮説下において、となります。 ここでの最尤推定量を求めていくと、対数尤度関数を微分して と…

現代数理統計学の基礎 7章 問5

今回の問題はポアソン分布における尤度比検定・ワルド検定・スコア検定の問題ですね。これも基本に沿ってやれば問題なくできます。 同じ内容を扱った過去記事はこちら medibook.hatenablog.com まずは尤度比検定ですが、その前にλの最尤推定量を求めましょう…

現代数理統計学の基礎 7章 問4

今回は問4、指数分布の問題ですね。 この問題は指数分布モデルにおいて臨床試験で必要とされる症例数計算なんかの話と結びついており、ネット上に同じ話を論じている南山大学のPDFがあったので、参考になるかもしれません。 http://www.st.nanzan-u.ac.jp/in…

現代数理統計学の基礎 7章 問3 -フィッシャー情報行列-

問3は結構込み入った内容となってますので説明入れながらやっていきます。 目次: (1) (2) <捕捉>フィッシャー情報行列について ワルド検定 スコア検定 (3) (1) まずは(1)から。 今回の問題は平均、分散ともに未知の状態で、平均を帰無仮説とし…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅣ -欠測データの扱い/ LOCF法-

前回メタアナリシスの欠測データの問題点について書きましたが、RCTの論文で実際に欠測データがどうなっているのか、例を一つ見てみます。「欠測データがどんなもので、どう処理されているのか」に注意することは結果の解釈に大きな影響があると思います。 …

現代数理統計学の基礎 7章 問2 (2)

ちょっと解答が納得しにくい問2の(2)をやっていきます。(1)と逆で、平均が既知で分散が未知の場合の検定ですね。 まず尤度関数は となります。 また(1)と同様に対立仮説下での最尤推定量をとすると となります。 場合分けしてみていくと ①のとき 尤度比の式…

メタアナリシスについてより詳しく学ぶ②-欠測データの問題-

前回記事に引き続いて、メタアナリシスの解釈について読む側の視点でまた少し掘り下げてみたいと思います。 前回記事はこちら medibook.hatenablog.com 今回は欠測データの話です。欠測データがメタアナリシスに及ぼす影響について、BMJから今年面白い論文が…