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実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方まとめ

以前にも一度システマティックレビュー&メタアナリシスについてまとめようとしたことがあったのですが、部分的な説明止まりだったので改めて書いてみることにしました。

 

医学論文の読み方を解説した本ではランダム化比較試験、観察研究などの説明が多く、メタアナリシスについて書いた本は少数で、取り上げているとしても分量が少ないです。研究をする側に向けた本は多数ありますが、逆に専門的すぎて読む側としては難しすぎるきらいがあります。

 

そこで、読む側に向けて「臨床への適用」+「批判的吟味」を中心に調べた内容をまとめます。実際に論文を読むことを考えて、Background-Methods-Results-Discussionの順に注意する点を記載していきます(一部順番は前後しますが)。

 

例によって疫学等が専門ではないので気になる箇所等あればご指摘いただけますと幸いです。

 

随時更新した記事をここにまとめていく方式とします。

参考文献もこちらにまとめますので、より詳しく知りたい方は参考にどうぞ。

(最終更新 2021/11/26)

 

前提知識

システマティックレビューとメタアナリシスとは

 

Background編

その臨床的疑問は本当に意義があるか

 

Method編

各研究は統合可能か

臨床的疑問に対する直接的な研究か

複数名のレビュアーで文献が選択されているか

網羅的な検索はされているか

報告バイアスの検討がされているか

個々の研究のrisk of biasが評価されているか

異質性の評価はされているか(補足として固定効果モデル・ランダム効果モデルの話)

 

Results編

結果に一貫性があるか

感度分析の結果はどうか

臨床での適用はどうか

 

Discussion編

研究の限界に適切に触れられているか

 

 

 

 

 

参考文献:

『JAMA User's Guide to Medical Literature』
普及しているとは思えないですが、エビデンス関連の本の中で個人的に最も勧めたい1冊。観察研究からランダム化比較試験、メタアナリシスからネットワークメタアナリシスまで幅広くカバー。細かい数式などは使わずタイトルの通り、臨床に適用しようとする医学文献のユーザーのための本となっています。いずれの章も、実際の症例に使う場合どう考えるかを主題として解説している点も素晴らしいです。
内容が充実しすぎて通読は無理ですし、未だにしてませんが、抄読会などで論文を読む際に参考にするとよいと思います。

『医学文献ユーザーズガイド』

邦訳版です。英語が平易なのと訳がかえってややこしいところがあるので、 英語版でもよいですが、苦手な方はどうぞ。

『メタアナリシス入門』
メタアナリシスの統計数理的背景を解説した本です。序盤までしか読んでませんが、統計やる人向けですね。『統計学のセンス』を書かれた著者の方で、文章や数式の解説は分かりやすい方なのではないかと思います。とはいっても現在の知識レベルでは難しいです(汗

 『臨床研究を正しく評価するためには』

「ランダム化比較試験の長所短所は?」「バイオマーカーは薬効評価において有効?」など26個のギモンに答える形式で臨床研究について書かれた一冊です。大事なポイントがコンパクトに収まっており、他の本で敷居が高いと感じた人にもお勧めできます。メタ解析については1章割いてあるのみですが、参考になります。

『医学論文を読んで活用するための10講義』
薬剤師青島先生が書かれた医学論文の活用のための一冊です。こちらも一部ですがメタアナリシスの読み方について触れられています。参考にさせて頂きました。
 
以下は論文などのページリンクになります。
Cochrane共同計画の公式ページやjournal of epidemiology、BMJのサイトは無料で読める部分も多く非常に参考になります。より詳しくそのままの情報を知りたい方はぜひどうぞ。
 

Chapter 8: Assessing risk of bias in a randomized trial | Cochrane Training

Cochrane methodology | Cochrane Training

ステマティックレビュー&メタアナリシスにおける大御所であるCochrane databaseのトレーニングページです。risk of biasの評価法やGRADEシステムの解説などがされており、エビデンスの質をどう評価するのかが理解できます。文章量も非常に多いので、一部のみ参考としています。

Reporting Biases | Cochrane Bias

上記のCochrane handbookにおける報告バイアスのページです。

Chapter 8: Assessing risk of bias in a randomized trial | Cochrane Training

上記Cochraneのrisk of biasのページです。

Chapter 10: Analysing data and undertaking meta-analyses | Cochrane Training

上記Cochraneの結果の統合についてのページです。フォレストプロットの例も載っています。

 

 

GRADE series

Journal of clinical epidemiologyのGRADEシステムの解説をしたシリーズです。研究の質の評価という点でかなり厳格に詳しく書いてありますので、本格的に読みたい方にはお勧めです。つまみ読みしたので上げていますが、正直十分には読めておりません。

GRADE guidelines: 4. Rating the quality of evidence—study limitations (risk of bias) 

上記シリーズの中のrisk of biasの話です。

研究の限界(バイアスのリスク)について

GRADEシステムの日本語解説ページです。

 

Recommendations for examining and interpreting funnel plot asymmetry in meta-analyses of randomised controlled trials | The BMJ

funnel plotについて掘り下げた解説論文です。

PRISMA

ステマティックレビュー&メタアナリシスにおいて著者が従うべきPRISMA statementのページです。読む側としても、どの点が欠けていると問題なのかがわかるためチェックリストなどは参考になります。

PRISMA 2020 explanation and elaboration: updated guidance and exemplars for reporting systematic reviews | The BMJ

PRISMA2020の項目の個々の説明はこちらにあります。

総説 医薬研究のメタアナリシスと公表バイアス

公表バイアスを中心に数式の理解について書いた日本語の総説です。