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【show/reveal/demonstrate】MRI/CTなどの画像検査結果の説明【医学論文の英語表現】

今日はよく必要となる画像検査の結果に関係する動詞の表現に着目してみます。

 

目次:

 

単語の意味と共起表現、クラスタ

MRI, CTなどの画像検査と一緒に使われる共起表現としてshow(~は~を示している)/reveal(~は~を表している)/performed(施行された)/undergo(~を受ける)/demonstrate(~は~を証明する)などがあります。

 

論文の表現としてよく見るのはshow, revealMRI/CTを主語として、そこで認められた病変を説明します。performは「施行する」と言う意味ですが、能動態にすると検査者が主語になって変な感じになるので、受動態で使われます。

 

このうちundergoはどちらかというと個人のブログやニュースなどで使われている感じですね。"He will undergo MRI on Monday"とか。

 

また、撮像する部位についてはコーパスをみるとMRI of brainなんて表現が出てきますが、論文ではほぼ見たことないですね。Brain MRI, Cervical MRIなどが多いでしょうか。

 

あとは造影剤を使う場合の表現ですけども、contrast-enhanced MR imagingやMR imaging with contrastといった表現が使われます。コーパスをみると、一般的な表現としてはMRI with contrast dye(=染料のこと)と言ったりもするみたいですね。論文では決して使いません。

 

ついでにMRIという略語ですが、以前の記事で紹介した植村先生の本では「MRIではなくMR imagingだ」ということが強調されていましたが、最近の論文をまとめて検索にかけているとMRIと言う略語も多くあります。最初に略さずに書いて略語を明示するルールを守れば大丈夫な気がします。

論文をrejectされた記念に、症例報告の書き方の本を紹介する - 脳内ライブラリアン

 

 

用例 

実際の論文から例を見てみます。 

 

 Brain MRI may demonstrate bilateral areas of leukoencephalopathy, gadolinium-enhancing lesions that follow a perivascular pattern, or, less frequently, hemorrhagic lesions.*1

demonstrateを使った例です。流れるようにガドリニウム造影の表現が続けられているのが分かります。

 

demonstrateを使った表現は、元の意味である「証明する」に近いためか、どちらかというと「単純にあるがままの病変を示す」というより疾患名や病変の解釈も含めて使われることが多い印象です。なんとなくなので違うかもしれませんが、、、。

 

余談ですが、傍腫瘍症候群など自己免疫性脳炎で有名なバルセロナ大学のDalmau先生の論文ですね、これ。

 

MRI showed multiple cerebral and spinal lesions.*2

 シンプルにshowを使った表現ですね。lesion(病変)は一緒によく使われます。

 

Magnetic resonance imaging (MRI) with contrast usually reveals leptomeningeal enhancement. *3 

こちらはrevealです。showと同様にシンプルに使えます。造影剤を使った表現ではenhancementやenhancing lesionといった形で「造影効果のある 」ということが書かれます。今回はleptomeningealなので軟膜ですね。余談ですが硬膜はpachymeningealとなります。

 

Head CT and brain MRI were notable for mild hydrocephalus.*4

 おまけです。be notable forは~が「顕著である」と言う表現で、画像と言うより検査一般でも使われたりしてるようです。"Futher evaluation was notable for a positive ~"のように検査結果で「ここが特に目立ちました、明らかになりました」と言う意味で使われいます。

 

引用文献:

*1. Dalmau J, Graus F, Arin H. Paraneoplastic neurological syndromes in Hodgkin and non-Hodgkin lymphomas. Blood. 2014;123(21):3230–9.

*2. Körtvélyessy P, Breu M, Pawlitzki M, Metz I, Heinze HJ, Matzke M, et al. Adem-like presentation, anti-mog antibodies, and ms pathology: Two case reports. Neurol Neuroimmunol NeuroInflammation. 2017;4(3):4–7.

*3. Giovannoni G, Chamoun V, Scadding J, Thompson E. Neurosarcoidosis. Sarcoidosis. 2012;256–70.

*4. Peng TJ, Kimbrough T, Tolchin BD. Clinical Reasoning: A 71-year-old man receiving treatment for cryptococcal meningitis, developing new-onset lethargy. Neurology [Internet]. 2019 Apr 23;92(17):815–20. Available from: http://www.neurology.org/lookup/doi/10.1212/WNL.0000000000007379