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プロスペクト理論①-確実性効果-【日常生活に活かす行動経済学の使い方】

先日行動経済学の本を紹介したのですが、心理学的なことを多く含むためか、結構普段の生活や仕事に応用が効くと思うんですね。医療現場についてもこんな本も出ています。

医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者

医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者

 

 

ただ、なかなか読むだけだと身につかず応用しにくいのでここでも色んな理論を紹介してみようと思います。素人なので正確ではない表現があるかもしれませんので、ご注意ください。参考文献は一般書ですが載せるようにします。

 

プロスペクト理論

まず、行動経済学において一番中核となる「プロスペクト理論」から。

プロスペクト(=prospect)には見通し、可能性などの意味がありますが、この名称にはさほど意味がない、と命名したダニエル・カーネマンが述べているようです。

 

何に対しての理論かと言えば「リスクへの態度に関する人々の意思決定の特徴を示したもの(医療現場の行動経済学p.30)」というのが簡潔だと思います。何か確率が不安定な事柄に対して人が選択肢を決めるときに、どういう特徴があるのかということですね。

 

ギャンブルなんかが一番分かり易い例かもしれませんが、それに限らず、人はかなり可能性の決まらない選択をたくさんしています。

・病気に対する治療方法の選択

 (治療によって副作用、奏効率、値段など様々)

・どの家電、日用品など商品にするかの選択

 (満足のいく商品がどれかは使ってみないと分からない)

・どの保険に入るかの選択

 (病気になる確率とコストの兼ね合い)

 

こうやって考えると何でも出てくるのではないでしょうか。

 

このプロスペクト理論で提唱される特徴で中心的なものをいくつか見ていきたいと思います。①確実性効果、②参照点依存性、③損失回避、④確率加重関数あたりを順番に説明してみます。

 

確実性効果

話としてはとても理解しやすいので「確実性効果」と呼ばれるものをまとめてみます。至極簡単にいえば「人は不確実なものより確実なものに惹かれる」ということです。

 

例をみて簡単に試してみましょう。次の二つの選択肢だったらどちらを選びたいでしょうか。

 

A コイン投げをして表が出たら10000円、裏が出たらなし

B 確実に4600円もらえる

(thinking fast & slow Daniel Kahneman p.271:ドルだと分かりにくいので円に直してます)

 

僕だったらBですね。お金持ち過ぎるひとはそんなはした金より10000円だぜ、ってなるのかもしれません。これは期待値計算するとAは5000円でBは当然4600円なので、期待値だけでみればAのほうが良いのが分かります。もう一つ、少し細かい例を見てみます。皆さんは次の2つならどちらが良いでしょう。

 

A 確率80%で4万円が当たる

B 確実に3万円が当たる

(医療現場の行動経済学p.31)

 

もう一問あります。

 

C 確率20%で4万円が当たる

D 確率25%で3万円が当たる

(同上) 

 

さて、どうでしょうか。

 

 

 

個人差も多少あるとは思いますが、一問目でBを選んで、二問目でCを選んだ人も多いのではないでしょうか。

 

一問目でBを選んだ人というのは「80%で4万円」より 「確実に3万円」を好んでいるわけですが、両方に確率25%をかけると、二問目の質問と同じになります。

 

なので従来の経済学の考え方によればこれは一致しなければいけないのですが、一致しない。つまり、「確実性」というのが数値上の確率以上に働きがあるということになります。これが「確実性効果」というものです。

 

少し話としては逸れますが、セールストークでも「確実」「絶対」「100%」ってあるのが好きですよね。「確実に儲かります」とか「絶対に成績が伸びます」とか。本能的な安心感だと思いますが、引っ張られ過ぎないようにしないといけません。

 

続きの記事はこちら

プロスペクト理論②-参照点依存性-【日常生活に活かす行動経済学の使い方】 - 脳内ライブラリアン

 

参考文献: 

Thinking, Fast and Slow

Thinking, Fast and Slow

  • 作者:Kahneman, Daniel
  • 発売日: 2012/05/10
  • メディア: ペーパーバック