脳内ライブラリアン

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医療、統計、哲学、育児・教育、音楽など、学んだことを深めて還元するために。

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統計

急性期脳梗塞の臨床試験の解析方法が分かりにくすぎるので、勉強した話①【順序ロジスティック回帰分析】

今回は脳梗塞診療に関わる臨床医師向けのせまいせまい話を通して、順序ロジスティック回帰分析の話を書こうと思います。 急性期の脳梗塞の論文って血栓回収にアルテプラーゼ、最近ではテネクテプラーゼと賑わいを見せ続けている分野だと思うんです。ただ、最…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方④

引き続きRCTの勉強を続けます。今回で最後になります。 前回記事はこちら ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方① - 脳内ライブラリアン ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方② - 脳内ライブラリアン ここまでは知っておきたい…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方③

コロナ感染者も増えており、4連休も結局どこも行けないですね。。。まあ、仕事もあってそもそもそんなに行けないんですが。 引き続きRCTの勉強を続けます。 前回記事はこちら ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方① - 脳内ライブラリアン こ…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方②

ランダム化比較試験の読み方・注意点を引き続きまとめてみます。 前回記事はこちら ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方① - 脳内ライブラリアン 今回は「患者の選出」 と「ランダム化」の部分についてです。 目次: 患者の選出基準をみる ラ…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方①

以前に一度メタアナリシスの読み方についてまとめました。 medibook.hatenablog.com 引き続いて今回は臨床試験の王道であり、メタアナリシスに次ぐエビデンス力の持ち主である、ランダム化比較試験(Randomized Control Trial)についてまとめてみようと思いま…

順序統計量とその確率についてイメージしてみる【統計検定1級対策】

ここ最近の仮説検定の話から一旦離れますが、順序統計量の話をまとめます。 統計検定1級で時々出題されている内容ですが久々に解こうとすると、定理を忘れてしまってることが多くて困りました(汗 他の内容とそこまで強く関連しないので、どうしても内容が飛…

標本平均と不偏分散、カイ2乗分布の関係性を整理【統計検定1級対策】

雨の日は車通勤にしていたのですが、長距離運転が眠くてしょうがないのでポンチョを買って、雨の日も電車+自転車通勤に切り替えました。快適です。 今回は標本平均と標本平均を使った不偏分散、χ二乗分布の関係性を整理していきます。t分布、F分布の導出に…

一様最強力検定とネイマン-ピアソンの補題【統計検定1級対策】

以前の記事で有意水準と検出力、それらをもとにした一様最強力検定については書きました。 medibook.hatenablog.com 今回は一様最強力検定を求める一つの方法であるネイマンピアソンの補題について書きます。 ネイマンピアソンの補題の成立条件 条件として単…

第1種過誤・第2種過誤・検出力の関係をグラフで見る【統計検定1級対策】

仮説検定の内容をまたまとめてみます。 統計検定1級でも過去に出題されているネイマン-ピアソンの補題について書こうと思いましたが、その前段階として、第一種の過誤、第二種の過誤と検出力についてグラフにして確認してみます。 目次: 第1種過誤 第2種過…

単純仮説/複合仮説の場合における有意水準αの仮説検定(例題付き)【統計検定1級対策】

仮説検定において「有意水準αの検定を求めよ」みたいな問題を最近よく解いておりますが、単純仮説の場合はいいんですけれども、複合仮説の場合がどうも理解できなかったので、まとめ直してみました。 まず、単純仮説・複合仮説の定義から順番に考えて、例題…

尤度比検定、ワルド検定、スコア検定をできるだけ分かりやすくまとめる【統計検定1級対策】

本日は仮説検定の中で、用いられる尤度比検定、wald検定、score検定についてまとめてみます。対数尤度関数、最尤推定量やスコア関数のそれぞれについては分かるけれど、この検定の意味がわかりづらい、、という人向けに書きます。 目次: 尤度比検定/ワルド…

標準正規分布とカイ2乗分布・ガンマ分布の関係について、整理と証明【統計検定1級対策】

統計検定をとることがキャリア的に少し意味が出てきそうになってきたので、また重要事項の整理を始めたいと思います。 統計検定1級の過去問で仮説検定の問題を解いていたのですが、標準正規分布とχ二乗分布、t分布、F分布という地盤がぐらぐらだ、、というこ…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方⑤ -研究の異質性-

今回で最後です。 研究毎の異質性の評価について書きます。 前回までの記事はこちら ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い- - 脳内ライブラリアン ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方④ -フォレストプロット-

引き続きメタアナリシスの読み方です。 よく使われるフォレストプロットの見方・結果の解釈について書きます。 以前に論文データのブログでの引用と著作権の問題について書きました。”引用”なら可能なのですが、この記事で果たして良いのか微妙なところに思…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方③ -effect size, standard mean differenceについて/固定効果モデルとランダム効果モデル-

前回までの記事でメタ解析ではいかにして研究を集めて、バイアスリスクを評価するか、について述べました。今回からはいよいよメタアナリシスの肝である、集めた結果をどう統合するかを説明します。 まずは結果どうしが異なる指標の場合どうするか、というこ…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方② -バイアスリスクについて(risk of bias)-

前回記事はこちら ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い- - 脳内ライブラリアン 引き続きメタ解析の読み方について紹介していきます。 目次: バイアスリスク 報告バイアス(reporting bias) ①F…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い-

以前は生存時間解析の論文を、ロジスティック回帰分析やハザード回帰分析の詳細をみつつ紹介しました。 medibook.hatenablog.com 次はエビデンスでいうと最も信頼性が大きく強いメタ解析(meta-analysis)について書いてみます。 一番強いエビデンスでありなが…

仮説検定とp値の定義式【統計検定1級対策】

今は過去問を地道に解いているところですが、P値と仮説検定の問題をやっていたら、式だけ見ていると混乱してくるので一度まとめてみます。P値の意味はある程度わかるけど、数式になると混乱しちゃうよっていう人向けです。 P値の定義について分かり易く説明…

行列が苦手すぎる人向けの重回帰分析における最小二乗法【統計検定1級対策】

行列計算がとにかく苦手です。 解説の式をみていると普通の計算式と同様にいかない点が多すぎて、ルールの確認に奔走してしまいます。あと、行列式とかトレースとか転置行列とか冪等行列とか特殊なやつもよくわかりません。 ただ、統計の勉強をしていると重…

スコア関数~フィッシャー情報量~クラメール・ラオの下限を復習【統計検定1級対策】

さて、今日も今日とて統計学の勉強を続けています。 今回は前回記事で使った問題をネタにクラメール・ラオの下限を求める小問をやろうと思ったのですが、、「解答がおかしい・・・。」ということに気づいたので(自分のミスかもしれませんが)愛用の「現代数…

マルコフの不等式~チェビシェフの不等式~大数の弱法則を復習【統計検定1級対策】

最近は統計検定1級の教本をみながら問題を解きつつ範囲の確認をしています。 日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学 作者:二宮嘉行,大西俊郎,小林 景,椎名 洋,笛田 薫,田中研太郎,岡田謙介,大屋幸輔,廣瀬英雄,折笠秀樹 発売日: 2013/04/08 メディア: …

ガンマ関数とベータ関数の関係性を整理【統計検定1級対策】

通勤時間で色々本は読むのですが、いかんせんブログを書く時間が作れません。 今日はとりあえずさっとできそうなことで、引き続き統計の勉強内容を書きます。 ガンマ関数とベータ関数は統計のみならず、必要となってくる内容らしいですが、統計学ではガンマ…

統計数理で使うマクローリン展開・テイラー展開を再確認してみた

さて、ほとんどの地域で警戒宣言も解除され、徐々に普段の生活に戻りつつある今日この頃ですが、我が家は第二子が生まれたこともあって、最近はひたすら三食の準備と家事と上の子の散歩に日々追われております。 今日はなんと上の子が夕方ごろに急に寝てしま…

検査による確率変動の算出方法 -尤度比と検査前後確率/オッズについて-

医師が診断をするときにどのように その病気らしい/らしくない、を判断していくのか。 具体的な確率で数値化することは情報が揃っていればできます。 ただ診断をつけるときにその疾患である確率を 実際の診療で細かく計算したり、イメージすることはないので…

現代数理統計学の基礎 6章 問15

久々になりましたが統計学基礎の解説に戻ります。 問14は3章の別の問題の結果を多用しすぎていて 正直解説が若干めんどくさい、、、ので問15。 母数θを用いた関数の不偏推定量について 与えられるクラメールラオの不等式の問題です。 コーシーシュバルツの不…

実際の論文から統計を学んでみる⑤-Cox比例ハザード回帰とは-

実際の論文をみつつ統計学習をしてきましたが 今回の論文についてはここでいったん最後です。 使用している論文がこちら "Neck weakness is a potent prognostic factor in sporadic amyotrophic lateral sclerosis patients" (Nakamura R, Atsuta N, Watana…

実際の論文から統計を学んでみる④-ログランク検定は何をしているのか-超幾何分布

引き続き 実際の論文をみつつ統計の学習してみます。 使用している論文がこちら "Neck weakness is a potent prognostic factor in sporadic amyotrophic lateral sclerosis patients" (Nakamura R, Atsuta N, Watanabe H, et al Journal of Neurology, Neur…

実際の論文から統計を学んでみる③-ログランク検定は何をしているのか-カプランマイヤー曲線

さて、ログランク検定が具体的に何をしているのか 掘り下げてみようと思います。 使用している論文がこちら "Neck weakness is a potent prognostic factor in sporadic amyotrophic lateral sclerosis patients" (Nakamura R, Atsuta N, Watanabe H, et al …

実際の論文から統計を学んでみる②-ログランク検定とは-

前回から続きまして 実際の論文をみつつ統計の学習してみます。 使用している論文がこちら "Neck weakness is a potent prognostic factor in sporadic amyotrophic lateral sclerosis patients" (Nakamura R, Atsuta N, Watanabe H, et al Journal of Neuro…

実際の論文から統計を学んでみる①-比例ハザード性とは-

今回は医師向けの内容です。 最近数理統計学をそれなりに勉強したので 多変量解析とか生存時間解析などの 応用分野に手を伸ばし始めています。 これでようやく普段読む論文の解析内容に近づいてきました。 そこで、論文の内容みながら 解析方法についてどん…