脳内ライブラリアン

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医療、統計、哲学、育児・教育、音楽など、学んだことを深めて還元するために。

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【示す】show/ demonstrate/ indicate/ suggest/ reveal の違い【医学論文の英語表現】

さて今回は検査結果や他の研究を主語にして使われがちな単語たちをまとめてみます。ちょっと欲張って多すぎた気がします(汗

 

"show" を中心としたSkeLLによるsimilar wordsの図をみてみると以下のような形です。

f:id:medibook:20210521054118j:plain

SkeLLより引用)

他にも違いを明確に説明しにくい似たような単語が並んでいますね。 

 

目次:

 

単語の意味と共起表現

 

まずは単語の意味から見ていきます。

(Cambridge Dictionary | 英語辞典, 訳 & 類義語より引用)

 

・show

to make it possible for something to be seen

これは単純に何かをみえるようにする、という意味合いですね。 

 

・demonstrate

to show or make something clear

to show something and explain how it works

明確にする、どういう仕組みになっているか説明する、ということで先ほどのshowよりは詳しく説明している印象です。日本語では「実証する」なんて訳を付けられることもありますね。

 

共起表現としてSkeLLでの修飾語句になりやすいものをみてみると

conclusively, convincingly, vividly, consistently

など、実証できていることをより強めるような、論理的に強い意味合いの副詞が並びます。

 

・indicate

to show, point, or make clear in another way

 

indicateも同様に何かを示すことを表す単語ですが、"in another way"とあるように、showほど一見して明らかなものを示すわけではない印象です。

 

共起表現としての修飾語句は

clearly, strongly, possibly, perhaps

など先ほどのdemonstrateよりは少し弱い単語も並びます。また論理的に強い意味合いを持ちそうな単語もあまりありません。

 

・suggest

to say an idea or plan for someone else to consider 

 

「提案する」 という意味がありますが、少し他に比べると弱い単語となります。共起表現もindicateと同様にあまり強い副詞は並びません。臨床系の論文ではmayなどの可能性の低めな謙虚な表現の助動詞と一緒に使われている印象です。

 

・reveal

to make known or show something that is surprising or that was previously secret

 

revealは「今までは隠されていたものを示す」という点で、何かが事前に隠されているということが特徴です。

 

修飾語句をみてみると

finally, eventually, gradually, slowly, ultimately

など、「最後に」という意味の単語や時間の経過速度を表す副詞と相性が良いことが分かります。他の単語にはみられない特徴ですね。

 

それぞれの違いについては、こちらのページも参考になります。

科学論文における類語:reveal、show、indicateの違いは?

 

医学論文を含めた用例

実例をみていきます。

 

・show

Moreover, both cases showed favorable response to steroid plus rituximab therapy.

(Annals of Clinical and Translational Neurology 2019; 6(2): 392–396)

 

症例ベースで薬の反応を示す意味でのshowですね。これは経過をみればよい反応なのかどうかは一目瞭然で明らかであり、showの意味に合致します。

 

Three days later, cervical spine MRI showed a T2 hyperintense enhancing lesion at C2-3 (figure). 

(Young-Barbee C, Hall DA, Lopresti JJ, Schmid DS, Gilden DH. Clinical/Scientific Notes. 2009.)

これも単純に画像で信号変化があるよ、ということでみてそのままわかることに使われていますね。 

 

・demonstrate

These considerations may explain why many individual randomized clinical trials have failed to demonstrate a treatment effect.

(JAMA. 2020;323(19):1934-1944. doi:10.1001/jama.2020.4249)

 trialがeffectを示す、という意味合いではdemonstrateが使われます。trialはまさに効果を「実証する」ものなので、demonstrateがぴったりきますね。

 

These antibodies are highly specific and their pathogenicity has been demonstrated in cultured neurons and in-vivo models.

(Lancet Neurol 2016; 15: 391–404)

 

Skin biopsy can reliably demonstrate the loss of IENF in SFN.

(Brain (2008), 131, 1912^1925)

 

手持ちの論文での表現をみていくと病理所見や生検結果などの医学的には確実性が高いもの・実証性が高いものに対してはdemonstrateが使われているように思います。 

 

・indicate

we found no radiologic, clinical, or CSF symptoms that clearly indicated the final diagnosis.

(NEUROLOGY 2001;56:1313–1318)

Previous reports indicate that NMOSD has some clinical manifestations that differ from those of seropositive NMOSD

(Journal of the Neurological Sciences 341 (2014) 17–21 Contents)

 

臨床所見→診断、ある疾患についての過去の報告→疾患の臨床所見というのは、そこまで直接的かつ確実に意味を示せるものではないので、indicateという単語になってきているのかなと推測されます。

 

Because the results indicated an almost perfect colinearity between these volume measurements.

(Stroke. 2000;31:2175-2181.)

we created binary variables to indicate the presence of neurological disease, including Parkinson’s disease, multiple sclerosis, and paralytic syndromes

(SLEEP 2016;39(5):1009–1014.)

 

統計的な数値が現実の何かを示す、という場合も確実な結びつきとまで言えず、「別の形で」何かを示しているということになるので、やはりindicateが適切なのではないでしょうか。 

 

ADC indicates Apparent Diffusion Coefficient.

(Stroke. 2012;43:532-535.)

これは少し別の意味でtableなどの略語の説明にindicateが使われています。 

 

anticoagulation is indicated depending on stroke characteristics.

When anticoagulation is contraindicated, an inferior vena cava filter is reasonable.

(BMJ 2018;362:k2515)

これもまた違った意味ですが、薬の適応といういみでindicateが使われていますね。contraindicationは反対語で「禁忌」ですね。

 

・suggest

This observation suggests that the positive results of our study were not due to enrollment of a population with a large proportion of patients who did not have a response to interferon beta-1a.

(N Engl J Med 2010;362:402-15)

 

The results of the present study suggest that there is insufficient adult immunisation and use of tetanus boosters in Turkey.

(Clin Microbiol Infect 2004; 10: 229–233)

studyなどの研究結果を主語にもってきてsuggestが使われています。ややつながりが弱い意味合いを出したい場合と考えられます。 

 

・reveal

The detection of TPOAb across all control groups reveals their poor disease-specificity. 

(Neurology 2020;94:e217-e224.)

これは「橋本脳症は存在しないのでは?」という昨年出されたNeurologyの論文からの引用です。TPO抗体を診断基準として存在していた橋本脳症ですが、抗体自体が特異性が低いことが明らかになりました。

 

まさに「今までは知られていなかったことが示される(明らかになる)」という前提がありますのでrevealがぴったりですね。

 

Repeat CSF examination 2 days later revealed 1,300 erythrocytes and 21 leukocytes

(Young-Barbee C, Hall DA, Lopresti JJ, Schmid DS, Gilden DH. Clinical/Scientific Notes. 2009.)

 

Her neurological examination revealed left 12th CN palsy.

(Medicine (2017) 96:29(e7549))

 

検査や診察結果を表すものでもrevealが使われます。それまでの診察では明らかでなかったものが明かされるわけですから、使えるのではないかなと思われます。

 

まとめてみますと、

show 一見して単純にみえるものを示す

demonstrate (病理や実験などにより)確実に示す

indicate 少し違う見方でみると、みえてくるものを示す

suggest 示す(けど必ずしもそうでもないかもしれない)

reveal 今まで隠されていたものを示す

 

こんな感じでしょうか。いずれも論文には頻出・必須の表現なので使い方をもっと磨いていきたいですね。

現代数理統計学の基礎 4章 問21

統計応用医薬生物学の2019年問3をみると、今まで苦手意識が強かった共分散や多変量正規分布・多項分布も基本的なことはやらないといけないな、、と感じ始めたので、それに合わせて問題解いていきます。

 

ふと気づいたら、これまで4章は記事書いてなかったですね。

 

問21は2変量正規分布の問題です。

 

まずは(1)から。

 

互いに独立でないXYの2変量正規分布について、変数変換をしていく問題ですね。

 

まずX=U, Y=V+\rho Uと変換をしてヤコビアンを求めます。

J_{(u,v\rightarrow x,y)}=1なので

 

f_u,v(u,v)=\frac{1}{2\pi\sqrt{1-\rho^2}}exp\{-\frac{1}{2(1-\rho^2)}(u^2-2\rho u(\rho u+v)+(\rho u+v)^2)\}\\=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}exp\{-\frac{u^2}{2}\}×\frac{1}{\sqrt{2\pi(1-\rho^2)}}exp\{-\frac{v^2}{2(1-\rho^2)}\}

となります。

U, Vはそれぞれ独立した確率密度関数の積で表すことができており

U\sim N(0,1), V\sim N(0,1-\rho^2)

であることが分かります。

 

互いに独立でないことで扱いにくかった同時確率密度関数が変数変換をすることで扱いやすくなりました。これを利用して(2)に進みます。

 

XYの相関係数を求めていく問題です。

 

Corr(X, Y)=\frac{Cov(X,Y)}{\sqrt{V(X)V(Y)}}

となりますが、(1)の式からX、Yは標準正規分布であることがわかるので分母は1となります。 

よって共分散を求めれば良いこととなります。

 

Cov(X,Y)=Cov(U, \rho U+V)ですが、U, Vは互いに独立であることにより(期待値を使った式に展開するとわかりますが)これは以下のように変形できます。

Cov(U, \rho U+V)=Cov(U, \rho U)\\=\rho V(U)\\=\rho

 

続いてCorr(X^2, Y^2)について考えます。

 

Corr(X^2, Y^2)=\frac{Cov(X^2, Y^2)}{\sqrt{V(X^2)V(Y^2)}}

となります。

ここでV(X^2)X^2\sim \chi^2_1に従いますので

V(X^2)=2となります。V(Y^2)も同様ですね。

 

よって

Corr(X^2, Y^2)=\frac{Cov(X^2, Y^2)}{2}

であることがわかります。

 

あとは共分散を計算します。まずは簡単な形に変形していくと

Cov(X^2, Y^2)=E[X^2Y^2]-E[X^2]E[Y^2]\\=E[X^2Y^2]-1

X、Yの2乗の期待値は先ほどと同様に自由度1のカイ二乗分布に従うことからわかります。

 

あとは以下を求めていきます。

E[X^2Y^2]=E[u^2(\rho u+v)^2]\\=\rho^2 E[u^4]+2\rho E[u^2]E[v]+E[u^2]E[v^2]

 

こうすると2〜4次のモーメントがわんさか出てきますね。

正規分布のモーメント母関数を使えばこの辺は割と簡単に求めることができます。(計算ミスってそうですけど)

 

M_X(t)=e^{\frac{t^2}{2}}\\M'_X(t)=te^{\frac{t^2}{2}}\\M''_X(t)=(1+t^2)e^{\frac{t^2}{2}}\\M'''_X(t)=(t^3+3t)e^{\frac{t^2}{2}}\\M''''_X(t)=(t^4+6t^2+3)e^{\frac{t^2}{2}}

となるのでそれぞれに0を当てはめて代入します。

 

なお、E[v^2]\\=V(V)\\=1-\rho^2となっています。(平均0なので)

 

全部を代入すると

E[X^2Y^2]=1+2\rho^2

 よって

Cov(X^2, Y^2)=1+2\rho^2-1\\=2\rho^2\\Corr(X^2, Y^2)=\rho^2

となりました。

 

最後に(3)です。

これも何やらX、Yを変数変換すれば良い形に収まりそうな気がするので、ヤコビアンが1であることからそのまま代入してみます。

 

\frac{X^2-2\rho XY+Y^2}{1-\rho^2}=u^2+\frac{v^2}{1-\rho^2}

となります。

 

ここで

V\sim N(0,1-\rho^2)\\\frac{v}{\sqrt{1-\rho}}\sim N(0,1)\\\frac{v^2}{1-\rho^2}\sim \chi^2_1

なので、求めたい分布は標準正規分布の和であることがわかります。

 

互いに独立な2つの標準正規分布の確率関数の和は自由度2のカイ二乗分布に従うことがわかります。これで終わりですね。

 

 

【行う】conduct/ perform/ undertake の違い【医学論文の英語表現】

今回は「行う」「施行する」などの訳で用いられることの多いconduct, perform, undertakeの違いについて、みてみます。

 

目次:

 

単語の意味と共起表現

まずは単語の意味から。

Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurusより引用しています。

 

・conduct

to organize and perform a particular activity

 

・perform

to do an action or piece of work

まずこの2つを比較してみると、conductがある活動全体をorganize(=組織する)という形で指揮をとるような意味であるのに対し、performはpiece of workというように仕事全体というよりはその一部を行うものであることが分かります。

 

コーパスで見ても、performの目的語になるものはoperation, analysis, surgeryなどの具体的な一部の活動であるのに対して、conductの目的語はresearch, survey, investigation, studyなど研究プロジェクト全体を指す者となります。

 

この感じの違いはそのまま下記の論文中の例でもよく当てはまると思います。

 

・undertake

to do or begin to do something, especially something that will take a long time or be difficult

 

undertakeは「着手する」という訳がとられる時もあることから分かる様に、何かを「行い始める」というbeginの意味も原義に含んでいます。またある程度時間がかかる事柄を指すため、医学論文で出るもので言うと、study, researchなどが目的語になりやすいと思います。

 

医学論文を含めた用例

・conduct

We conducted a case-crossover study on a 5% random sample of Medicare beneficiaries age 65 y or older hospitalized with either TBI (n = 15,031) or hip fracture (n = 37,833) during 2007–2009. 

 

研究計画全体を指すstudyはconductの目的語に非常になりやすいですね。weを主語に持って来るか、受動態の形で使われます。

 

power analyses were conducted.

(SLEEP 2016;39(5):1009–1014.)

 

MR imaging was immediately conducted when acute Wernicke encephalopathy was clinically suspected, within 3–10 days after the occurrence of initial neurologic presentations.

(AJNR Am J Neuroradiol 26:2301–2305, October 2005)

 

Doppler (TCD) examinations were conducted to assess arterial recanalization. 

(Stroke. 2002; 33:2197-2205.)

 

analysisや各種検査などの個々のアクションについても使われているのが散見されます。

 

・perform

We then performed cognitive testing to obtain feedback through interviews in person or by telephone.

(Diagnosis (Berl). 2014 September ; 1(3): 223–231. doi:10.1515/dx-2014-0019.)

 

Follow-up MRI performed in 11 patients correlated 80% with the clinical state

(NEUROLOGY 2004;62:686–694)

検査、診察手技、手術などはperformが多用されます。ただ、あまり内科的な治療についての場面では用いられていないような気がします。

 

no power calculation was performed. 

(Neurology 2016;87:309–313)

 

Randomization was performed using a uniform random numbers list generated using SAS Release 9.1.3

(EXPERT OPINION ON PHARMACOTHERAPY, 2018 VOL. 19, NO. 6, 529–535)

 

データ分析を行うという意味合いでもperformは用いられています。

 

・undertake

The present study was undertaken as part of the ongoing activities of the prospective CJD surveillance programme (EUROCJD) con- ducted by the European Union and allied countries.

(Brain (2006), 129, 2278–2287)

 

A comprehensive literature search was undertaken to identify meta-analyses of randomized controlled trials reporting on the efficacy of secondary prevention strategies. 

 (Stroke. 2007;38:1881-1885.)

 

No other comparative trials are known to have been undertaken.

(Ann Neurol 2001;50:195–201)

 

undertakeはstudyなどの研究全体を主語に持ってきて受動態で用いられる例が多く見られました。3つ目の例文のように「今のところ着手されていない」「始められてもいない」と言う意味合いで使うにはぴったりな単語なように思います。

 

a decrease in the prednisone dose was undertaken as follows

(JAMA Neurol. doi:10.1001/jamaneurol.2020.5407)

ステロイドの減量に関する論文の実験プロトコールからの一文ですが、ステロイド減量がある程度長期間を必要とするものであるためか、こういった治療の場面でもundertakenが用いられていました。

【経験する】undergo/ experience の違い【医学論文の英語表現】

毎日夜になると子どもの嘔吐があって、ろくに眠れませんでしたが、やっと落ち着いてきそうです。胃腸炎ってきついですね、、、。

 

今日もちまちま英語で勉強したことを書きます。

 

undergoとexperienceですね。undergoは単語の意味としてはなんとなく分かっていましたが、自分ではいまいち使えない単語の部類でしたので、今回勉強します。

 

 

目次:

 

単語の意味と共起表現

単語の意味は

Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus

より引用しています。

 

・experience

 If you experience something, it happens to you, or you feel it

 

単純に、起きたり、感じたりしたことを表す動詞です。

 

SkeLLでのコーパスを見てみると、目的語としては

pain, feeling, change

などが並びます。単語の意味の通りですね。

 

ポジティブなものもネガティブなものも含まれます。

 

・undergo

 to experience something that is unpleasant or something that involves a change

 

こちらはよくないことを経験するという意味合いがそれなりにあります。

 

コーパスで目的語になりやすい単語を見ると

surgery, treatment, operation, therapy

などが並びます。医療関係で患者が受ける単語が多いので論文でもよく使われることが推察できます。

 

医学論文を含めた用例

手持ちの論文で見かけた例を見てみます。

 

Patients taking DOAC and ASA experienced more bleeding events compared with DOAC monotherapy

 

patients undergoing combination therapy had significantly higher rates of nonmajor bleeding

(JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2021.1197より)

 

1つ目の例文はマイナスなイベントについてですが、単純に起きたことを表すという意味でexperienceが使われています。

 

2つ目の例文を見るとtherapyという単語とundergoというのはやはり組み合わせが良いことがわかります。

 

In addition, as many as 0.9% of participants with ARIA experienced severe symptoms, including confusion, disorientation, gait disturbance, ataxia, visual disturbance, headache, nausea, falls, and blurredvision.

(doi:10.1001/jama.2021.3854)

 

これもマイナスな意味ですが、experienceが使われていますね。臨床試験などで偶発的に「起きる」ことに関してはexperienceが使われることが感じられます。

 

Patients with suspected PNS sarcoidosis should undergo electromyogram and nerve conduction study.

(JAMA Neurol. 2018;75(12):1546-1553. doi:10.1001/jamaneurol.2018.2295より)

 

逆にこういった検査などはundergoが一般的ですね。

【調査・研究】research/ study/ survey/ investigation の違い【医学論文の英語表現】

統計に関しては勉強中ですが、解く方が最近中心なのであまり記事にまとめることがなくなってきまして、、引き続き英語の方を磨いていきます。

 

今回は「調査・研究」の意味で使われる単語research/ study/ survey/ investigation の違いを見ていきます。

 

目次:

 

単語の意味と共起表現

まずは単語の意味を見ていきます。

 

引用はいつものこちらから。

Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus

 

・study

the activity of examining a subject in detail in order to discover new information

・research

a detailed study of a subject, especially in order to discover(new) information or reach a (new) understanding

 

さて、まずこのstudy, researchの2つですが、この原義を見ても比較的似たような意味合いになっています。researchの意味の中に"a detailed study"とあるので、studyよりもより狭義な意味合いという感じはあるかと思います。

 

続いて、ちょっと意味が異なるのはsurveyですね。

 

・survey

an examination of opinions, behaviour, etc., made by asking people  questions

 

the measuring and recording of the details of an area of land

 

日本語だと「調査」と訳されることが多いと思いますが、人にインタビューして得られた結果や土地の測量などが当てはまります。

 

同じ「調査」と訳されることが多い単語としてinvestigationがありますが、これもまた少し異なった意味になります。

 

・investigation

the act or process of examining a crime, problem, statement, etc. carefully, especially to discover the truth

 

crime, problem, statementなどが対象となっており、そうした問題に対しての「真実を明らかにする」ための調査という意味合いです。

 

それぞれのコーパスをSkeLLで見てみます。

 

これらの単語を主語とする動詞は以下のようで、大体重複しています。

find, show, suggest, reveal, indicate, demonstrate, confirm

 

investigationのみは、「真実を明らかにする」という意味合いから以下のような動詞を取ることが特徴です。

uncover, clear, disclose

 

またこれらの単語を目的語にする動詞は以下のものが代表的です。

conduct, undertake, perform

いずれも“行われる”という意味合いのものですね。

 

修飾語句についてはsurvey, investigationはresearch, studyと少し異なるものが使われます。

 

Modifiers of survey

Geological, satisfaction, annual, opinion, nationwide, archaeological

満足度調査、地質調査など定義に当てはまるものですね。

 

Modifiers of investigation

criminal, police, murder, FBI, scientific, arcaeological

こちらは学問的なものと公的調査が混在していることがわかります。どちらかといえば犯罪などに絡めて使われることが多いのでしょう。

  

同様の内容にはなりますが、以下の記事も参考になります。

【英語論文の書き方】第26回 research, study, workなど「研究開発」を表す英語表現 論文翻訳・英文校正 研究者専門の翻訳会社 ワールド翻訳サービス

 

investigation, survey, research - 英単語の正しい使い分けを勉強してすっきり英会話!

 

医学論文を含めた用例

studyはあまりにありふれているので、researchから見てみます。

 

・research

 

Further collaborative research across scientific and medical disciplines, methodological and technical advances, and increased societal and political awareness of prodromal PD are needed.

Movement Disorders, (2019), 1464-1470, 34(10) 

 

Future research requires appropriate methods to optimize the scientific value.

Movement Disorders, (2007), 451-460, 22(4)

 

Interexaminer difference in infarct volume measurements on MRI: A source of variance in stroke research

Stroke, (2008), 1171-1176, 39(4)

 

researchを含むもので手持ちの論文から出てきたのは、「今後の研究に関連した基準や方法論などを検討した論文」でした。

医学論文においてstudyというと個々の研究を指しますが、幅広くその分野の研究方法について論じる時はresearchが使われている、というところでしょうか。

 

続いてsurveyでは以下のような論文のタイトルがヒットしました。

 

・survey

 A nationwide survey of hypertrophic pachymeningitis in Japan

Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry, (2014), 732-739, 85(7)

 

コーパスでもみた通りnationwideといった単語との関連は強いですね。疫学的なものを見ていく場合はsurveyがしっくりくることもあるのではないかと思います。

 

・investigation

A single-center, retrospective study of COVID-19 features in children: a descriptive investigation

(Ma, Huijing, et al. "A single-center, retrospectiv_e study of COVID-19 features in children: a descriptive investigation." BMC medicine 18 (2020): 1-11.)

 

Determinants of diagnostic investigation sensitivities across the clinical spectrum of sporadic Creutzfeldt-Jakob disease

Brain, (2006), 2278-2287, 129(9)

 

あまりinvestigationなんて使われることがないかと思ってましたが、記述研究の類ではどうもみられるようですね。descriptive studyのように置き換えても通用するかなと思います。

【影響】influence/ impactの違い【医学論文の英語表現】

さて、夜になると娘が咳き上げ嘔吐する毎日が続いていますが、自分は奇跡的に元気でやっております。ちまちま英語で勉強したことをあげていきます。

 

目次:

 

単語の意味と共起表現

まず、それぞれの単語の意味から見ていきます。

・influence

the power to have an effect on people or things, or a person or thing that is able to do this 

・impact

 a powerful effect that something, especially something new, has on a situation or person

Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus より引用

 

influenceの方は「人やものに影響を与えて、何かを可能にさせる」といった意味合いに対して、impact「“特に何か新しいもの“で人や状況に強い影響を与える」とより強い意味合いになっています。

 

こちらのページでも同様のことが語られていますね。

特別講座 - モーガン先生の英単語の使い分け講座 - 英作文のフルーツフルイングリッシュ

 

続いてコーパス(Skell)を見ていきます。こちらは動詞形を中心に確認します。

 

動詞形において、impactの主語になりやすいものは

pollution, HIV, issue, storm, hurricane, development

などのように社会的に影響の大きい災害や問題、あるいは発展といったものが多いです。

 

これに対してinfluenceでは

factor, culture, music, idea, philosophy, language, theory

など思想や文化に関連したワードが並びます。

 

 

同様にimpactの目的語になりやすいものを見てみます。

health, life, community, economy, environment, industry, outcome

などこちらも社会的なある業界・分野を対象としています。

 

influenceでは

development, outcome, decision, behavior, culture, opinion, design

など業界・分野というよりもう少し抽象的な概念が多いように思います。

 

というわけで違いとしては、impactは「より強く社会的に大きな影響」を示すのに対して、influenceは「思想や文化的な影響などで、影響としてはimpactと比較すると強くはない」と言えるのではないでしょうか。

 

医学論文を含めた用例

・impact

Impact of Multiple Social Determinants of Health on Incident Stroke

Stroke, (2020), 2445-2453, 51(8)

脳梗塞に対するSocialな影響を見た論文ということで、先ほど見た通り社会的な因子が“影響“の主体となっているので、impactという感じですね。

 

Potential impact of missing outcome data on treatment effects in systematic reviews: imputation study

BMJ (Clinical research ed.), (2020), m2898, 370

共起表現でoutcomeという単語とも絡みがありましたが、このように使われることがあるようですね。

 

・influence

Review: cognitive care and combined cognitive and emotional care interventions may influence patients' health outcomes

influenceの方が影響が弱いという印象でいくと、mayと組み合わせられるのはなんとなく納得がいきます。

 

Drug Regulation and Pricing — Can Regulators Influence Affordability?

(N Engl J Med 2016; 374:1807-1809)

こちらも疑問形でやや弱い繋がりが弱いです。また対象となる単語も社会的に大きな単位というよりやや抽象的な単語となっています。

 

 

【期間】period/ term/ durationの違い【医学論文の英語表現】

体調不良と発熱により1週間ほどブログ更新できませんでした。結局ただの上気道炎だったわけですが、治ってきたと思ったら、下の子が胃腸炎でゲロゲロしてまして、睡眠時間を削られ回復がまた遅れ、、、さらに上の子も下痢になり、現在は家庭内で胃腸炎が拡大中です。恐ろしい。久しぶりにこんなに間隔空きましたね。

 

以前にちらっとやっていた「医学論文の英語表現をコーパスで勉強してみよう」と言う学習方法を最近読んで感銘を受けた『英語学習法』に従って、もう少し詳しくした形でやってみようと思います。

 

medibook.hatenablog.com

 

自分自身はネイティブでもなければ、留学経験もあまりないので、基本的に学習の備忘録的意味合いが強いです。なのでまあ情報は参考程度にお願いします。

 

目次:

 

やり方

やり方としては、まず、実際の論文を読み進めた上で『英語学習法』で述べられた以下の条件の理解が乏しい単語かつ、比較的出会う頻度の高い単語をピックアップ。

 

①その単語が使われる構文

②その単語と共起する単語

③その単語の頻度

④その単語の使われる文脈(フォーマリティの情報を含む)

⑤その単語の多義の構造(単語の意味の広がり)

⑥その単語の属する概念の意味ネットワークの知識

(『英語独習法』第5章より引用)

 

次に、日本語で同様の意味の単語を抽出し、その違いを説明できるようにしていきます。

いい感じに記事にできそうなものは記事にしていきます。

 

今回はいずれも"期間"を表す単語であるperiod/ term/ durationの違いについて書いてみようと思います。

 

単語の意味と共起表現、クラスタ

英英辞典での単語の原義から順番に見てみます。

 

・period

a length of time

・term

the fixed period of time that something lasts for

 

(*1より引用)

 

さて、termの原義にperiodが含まれているわけですが、、、

 

この時点でperiodの方がより一般的に「ある時間の長さ」を示す単語であるのに対し、termは「何かが続いている決められた時間」を示すことが分かります。

 

また、全体にtermの方が長い期間を示す感じがあります。

 

例えば、学校の授業に関連した単語としてどちらも使われますが

・period

in school, a division of time in the day when a subject is taught

→つまり、「時間」「時限」に相当するのに対して

・term

one of the periods into which a year is divided at school, college, or university

→「1学期」「2学期」などに相当します

やはり、periodの方が短いイメージです。

 

また、例えばスポーツの試合の区切りなんかもperiodが使われます。

 

実際SKELLでのコーパスを見てみます。

SkeLL-period

SkeLL-term

 

関連する主語、目的語などは"term"が他の意味合いもあることがあって、比較しにくいですが、modifiers of term/period(就職語句)をみてみると

 

period - long, time, short, extended, month, late, year

などが並ぶのに対して

term - long, short, four-year, five-year

など長めな年数が見受けられます。

 

さて、もう一つdurationについて、原義からみていきます。

 

・duration

the length of time that something lasts

 

これも時間の長さを示しますが、何かが続いている期間を指し示すことが特徴です。

 

医学論文でよくみられるものとして、disease duration(罹病期間)なんかがありますね。

 

これもコーパスで修飾語句を見てみます。

SkeLL-duration

 

average, mean, medianなど統計関連の語句が見受けられ、学術的な用途で使われやすいことがなんとなく汲み取れます。

 

医学論文を含めた用例

・period

the total duration of the double-blind period was 14–15 weeks

(Lancet Neurol 2016; 15: 154–65)

 

最近読んだ論文からですが、二重盲検の期間などを指し示す場合はperiodが使われています。比較的短い時間のためperiodがしっくりくる感じですね。

 

また、長さをより具体的に指し示す単語としてdurationも冒頭に入っています。

 

・term

Ocular myasthenia gravis: Response to long term immunosuppressive treatment (Journal of Neurology Neurosurgery and Psychiatry, (1997))

 

医学英語でtermといえばlong-termですね。

treatment, effect, use, outcome, use, results, follow-upなどなどの単語と組み合わされて使用されます。数年くらいはみているイメージですね。

 

・duration 

Effect of C-Reactive Protein–Guided Antibiotic Treatment Duration, 7-Day Treatment, or 14-Day Treatment on 30-Day Clinical Failure Rate in Patients With Uncomplicated Gram-Negative Bacteremia
(JAMA, (2020), 2160, 323(21))

 

このような感じで、Treatment duration(治療期間)もよく使われます。何かの行為をしている期間を指し示すことが多いので、想定される行為が修飾語句として登場します。例えば授乳期間はbreastfeeding durationとなりますね。

 

 

さて、初めてなのでなかなか上手くまとめるのが難しかったですが、しばらくちまちまと『英語学習法』に沿って医学英語を上達させるべく勉強していきたいと思います。

 

参考文献/引用元:

*1 『英語学習法』

*2

Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus