脳内ライブラリアン

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現代数理統計学の基礎 5章 問5

統計応用もやりつつ、時々統計数理のほうも解いていっています。

今回は5章の問5。

 

順序統計量と平方変換の両方を使う良い問題です。

 

まずZ=min(X, Y)なのですが、これをどう表現するか。

解答例と同様に、順序統計量としてみて、一番小さい値と考えます。

順序統計量については以前一度記事を書いたので分からない人はどうぞ。

 

medibook.hatenablog.com

 

これに従うとZの確率密度関数は、標準正規分布確率密度関数\phi(z)、確率分布関数を\Phi(z)としたとき

f_Z(z)=\frac{2!}{1!1!}\{\phi(z)\}\{1-\Phi(z)\}

となります。

 

さて求めたいのはZ^2でしたので、ここから平方変換をします。

Z^2=Yとすると

f_Y(y)=\frac{1}{2\sqrt y}\{f_Z(\sqrt y)+f_Z(-\sqrt y)\}

となります。

 

先ほどのzの確率密度関数を代入すると

f_Y(y)=\frac{2}{2\sqrt y}\{\phi(\sqrt y)(1-\Phi(\sqrt y))+\phi(-\sqrt y)(1-\Phi(-\sqrt y))\\=\frac{\phi(\sqrt y)}{\sqrt y}\{1-\Phi(\sqrt y)+1-\Phi(-\sqrt y)\}\\=\frac{\phi(\sqrt y)}{\sqrt y}

 

最後の方の式変形ですが、まず正規分布が左右対称であることより

\phi(\sqrt y)=\phi(-\sqrt y)

となります。

 

次に1-\Phi(\sqrt y)+1-\Phi(-\sqrt y)=1ですが、適当に描いた図でみるとこんな感じですね。

f:id:medibook:20210310062535j:plain

左右対称なので、赤と青のところを足すと1になるのが分かります。

 

かくして求められた

f_Y(y)=\frac{\phi(\sqrt y)}{\sqrt y}ですが、あとはΦのところに正規分布の式を代入すれば自由度1のカイ二乗分布に一致することが分かります。