脳内ライブラリアン

読書した本や学んだことをまとめつつ記事に。職業は医師なので医療絡みがメイン。

第二言語学習でi+1レベルを上手に学ぶ方法

英語もしくは他の第二言語を学ぶ場合、i+1レベルの難易度が学習に最適と
クラシェンは述べていますが、その難易度の内容に魅力を感じない場合
つまり逆に言えば自分が魅力を感じるものが難易度が高かった場合
どう対処すべきなのか、これが今回のテーマです。

 

・モチベーション(動機づけ)と言語学

 

英語の映画、アニメ、本、雑誌などその内容自体に興味をもつことは
言語学習の成功において非常に重要です。

 

1950年代後半以来、アメリカのロバート・ガードナーを中心とした
グループは「その言語の文化や人を理解したい」と考える「総合的動機づけ」が
長期的な学習意欲に繋がることを主張しています。
それに対し、その言語を学習することで金銭などを得ることを目的とする
「道具的動機づけ」は短期間の効果にとどまるとしています。

 

テレビでよく見るような「日本のマンガ・アニメが大好きな外国人」の方々は
「総合的動機づけ」に強く支えられているのでしょう。
確かに意欲に溢れていて、その短い勉強期間の割にはしっかりと日本語を話しており
驚きを感じることが多いです。テレビだけのステレオタイプなのかと思いきや
実際自分の知り合いにもそう言った契機で日本語を話せるようになった外国人を
ちらほら見るので決して間違った意見ではないのでしょう。

 

・興味をもつ内容が高度になればなるほど・・・

 

ただ興味をもつ内容がより高度なものになればなるほどi+1レベルからは離れていきます。
医学論文なんかは型にはまっているのでまだいいですが、一般書は結構難しく
ダニエル・カーネマンの"thinking fast and slow"を以前読んだのですが、頭の中に
残っているのは日本語に脳内で変換された朧げな内容のみです。

 

これを実証づける実験があります。
東京大学の心理学者の実験で、言葉を使う言語課題と言葉を使わない図形問題である
思考課題を同時に被験者に解かせることを行いました。ただし言語課題は母語、外国語と
それぞれ変えて行なっています。すると言語課題を母語でやった場合に比べ、外国語でやった場合は思考課題への干渉が強いことがわかりました。要するに、外国語で思考すると
母語に比べ思考能力が落ちるわけです。

 

こうなると困ってくるのが、母語で本来興味をもてるくらいの複雑な内容になると
深い理解ができない、というところです。

 

次回に続きます。

 

<参考文献>
白井恭弘 外国語学習に成功する人、しない人 岩波書店