脳内ライブラリアン

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心エコーを見直してみる『レジデントのための心エコー教室』レビュー

久々に医学書を買いました。

需要の少なさからなかなか感想を書く人もいないと思うので、せっかくなので感想を書いておきます。

 

 

 
 
脳梗塞の患者さんをみるときに基本的に高齢者が多いので合併疾患があることもよくあります。慢性心不全も多いですね。
 
重度なものは循環器内科の先生にお願いするわけですが、軽いものだと補液とか利尿剤とか調整してやっています。そんな時エコーの評価がある程度できると便利だなというところもあるのですが、研修医以降エコーの指導なんてないわけで、どんどんスキルが下がってきます。そんなわけでこの本『レジデントのための心エコー教室』を買ってみました。
 

見やすい図と大量の動画がわかりやすい

カラーで大判の本なので、とにかく図が見やすいです。心エコーの当て方やエコーそのものの画像、各心室壁の血管支配域など良い図が豊富に揃っています。さらに、ネット接続が必要ですが、電子版も存在しており(日本医事新報社に無料の会員登録が必要)これも便利な点ですね。

 

ネット上に動画があるので、紙書籍見ながら動画をみることもできるのですが、電子版だと直接リンクで飛べるのでさらに便利です。エコーはやっぱり動画があってナンボだと思いますので、例となる大量の動画は素晴らしいです。

 

複数著者のデメリット

この本を買うときは最初同シリーズである『レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室』をイメージして買っていました。が、全然違いました。

 

この本は大変わかりやすく、かつ本質的な部分を教えてくれる本でした。例えばレントゲンで何を見ているのか、CTでどういう病態がどう見えるのか。単著者なので、基礎的な概念からその応用まで一貫した説明であったことが印象的で、最初の方で学んだ知識を臨床に応用していく醍醐味を味わうことができる一冊だったと思います。

 

ところが今回の心エコー教室の本は複数著者となっているため、項目ごとに記載が分かれており、前半部分のエコーの見方や計測項目の説明が、どうしても教科書的な説明に近づきがちだと感じました。

 

やっぱりレジデントも他の内科医も臨床での活用に興味があって読んでいるので、最初の基本的な説明と後半の臨床的な実例をいかに結びつけるかがこうした実用本としては重要なんじゃないかなと思います。そういう意味では単著者だと全体の流れができていて良いですよね。書く側はさぞかし大変なのだろうと思いますが。

 

自分がこの辺の分野が知識不足だから、前半部分の教科書的内容の理解が足りなくてうまく読めてないのかもしれませんけどね、、(汗