脳内ライブラリアン

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現代数理統計学の基礎 5章 問11

淡々とまた解いていきます。

 

問11は互いに独立でない場合けれど、今日分散が0に収束するときの、標本平均の確率収束を考える問題です。

 

他の問題でも用いられますが、確率収束を示す場合、収束する値との差を十分小さい値εを用いるか、平均二乗収束を使う方法が多いです。

 

今回は平均二乗収束を用います。

E[(\bar X-\mu)^2]\to0を示せば良いので、まずこれを展開していきます。

 

E[(\bar X-\mu)^2]\\=E[(\sum{\frac{X_i}{n}}-\mu)^2]\\=E[\frac{1}{n^2}(\sum X_i-n\mu)^2]\\=\frac{1}{n^2}E[\{\sum(x_i-\mu)\}^2]

 

という感じでE[X-\mu], E[(X-\mu)^2]の形に近づけていきます。何が良いかと言えば前者は互いに独立な時は0(本問ではρ)になりますし、後者は分散になるので期待値からの変形が容易です。

 

こういった使い方は同じく5章の問8や2017年の統計検定1級問1などにも共通しますので重要だと思われます。

 

続けて変形していくと

\\=\frac{1}{n^2}E[\sum(X_i-\mu)^2]+\frac{1}{n^2}E[\sum_{i=1}\sum_{j=1, i\neq j}(X_i-\mu)(X_j-\mu)]\\=\frac{\sigma^2}{n}+\frac{n(n-1)\rho_n}{n^2}

よって、n→∞のとき0に確率収束します。

 

一つ目から二つ目の式への変形が最初見た時は難しいですが、要するに和の二乗を考えたときに、iが同じ数字同士の時とそうでない時で期待値を取ったときに出て来る数値が異なるので分けて考えているということですね。