試験範囲の見直しと自分の到達度合を確認するため、自分用に試験の範囲を簡単に図にして、まとめてみました。
各分野の関係性は、だいたいですが矢印を引いてみています。
また、分野ごとに解説した当ブログの記事のリンクも貼っておきます。
こうしてみてみると、⑤の分野はまだまだ理解が不十分ですね。
とはいえ、「不完全データ」や「ベイズ法」などよりはもっと前半の範囲のほうが出題頻度は高いとは思われます。
あとは参考書としてよく用いられる『現代数理統計学の基礎』で解いた問題の解答解説まとめページを作りました。こちらからどうぞ。
『現代数理統計学の基礎』 解答・解説まとめ - 脳内ライブラリアン
(2021.01.09最終更新)
目次:
- 統計検定1級の範囲一覧
- 各出題範囲の概要と当ブログでの過去記事
- お役立ちサイト紹介
- 使ってみた参考書
- 『統計検定1級・準1級公式問題集』
- 『統計学 統計検定1級対応』
- 久保川達也著『現代数理統計学の基礎』
- 竹村彰通著『現代数理統計学』
- D.A.ハーヴィル著『統計のための行列代数 上』
- 薩摩順吉ら著『キーポイント線形代数』
- 小西貞則著『多変量解析入門ー線形から非線形へ』
- 石村貞夫ら著『入門はじめての統計的推定と最尤法』
- 栗原伸一著『入門統計学 -検定から多変量解析・実験計画法まで-』
- 竹内淳著『高校数学でわかる統計学-本格的に理解するために』
- 高橋信ら著『マンガでわかる統計学』
- 高橋信ら著『マンガでわかる統計学 回帰分析編』
- 三中信宏著『統計思考の世界~曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』
- 小島寛之著『完全独習 ベイズ統計学入門』
統計検定1級の範囲一覧
(『統計検定1級対応 統計学』より。ネットでもみれます。)
各出題範囲の概要と当ブログでの過去記事
続いて、各分野ごとの統計検定における過去問の傾向と当ブログでの記事を一緒に載せます。
①確率と確率変数
統計検定1級の過去問を見る限り、前半の問題で出ることが多いです。いずれの小項目も出題頻度は非常に高いので、すぐに使えるように何度も復習しておく必要がありそうです。
モーメント母関数も過去の統計検定で出題は多く、②と合わせてそれぞれの確率分布ですぐに導出できたほうが良いと思われます。
統計数理で使うマクローリン展開・テイラー展開を再確認してみた
相関係数とその導出<共分散・ピアソン・スピアマン・ケンドール>
②種々の確率分布
各種分布の密度関数の式やモーメント母関数の問題は頻出です。公式参考書である『統計学 統計検定1級対応』に出てくるような分布は全て押さえておいたほうがよさそうです。『現代数理統計学の基礎』でも大体カバーされています。
正規分布やカイ二乗分布、t分布、F分布は仮説検定にも大いに関連してきます。それぞれの関係性も良く学んでおくと、今後の項目で役に立ちます。
標準正規分布とカイ2乗分布・ガンマ分布の関係について、整理と証明
超幾何分布でおさえておきたいポイントとフィッシャーの直接確率検定
代表的な確率分布を覚えやすいようにまとめてみる②-連続型・標本分布-
③統計的推測(推定)
点推定のあたりの話はこの分野に入ります。ここも問題が作りやすいので、出やすいです。特に不偏推定量や最尤法なんかは良く出題されてますね。
カルバックライブラー情報量〜赤池情報量規準(AIC)までの概略をわかりやすく①
スコア関数~フィッシャー情報量~クラメール・ラオの下限を復習
④統計的推測(検定)
①~③ほどの頻度ではありませんが、統計検定の過去問では大問一つ丸ごと出たりもしています。「医薬生物学」などの応用分野では重要なテーマなので、いずれにしてもしっかり学んでおく必要があります。概念がイメージしづらいので参考書のみでなく、色んなサイトの図を参考にしながら勉強したほうが良い気がします。
単純仮説/複合仮説の場合における有意水準αの仮説検定(例題付き)
尤度比検定、ワルド検定、スコア検定をできるだけ分かりやすくまとめる
⑤データ解析
ここだけ内容がバラバラすぎて勉強しにくいですね。今までの応用分野というイメージが強いです。回帰分析や分割表は今までの統計検定1級の過去問でも出てます。ベイズ法は今まで(少なくとも2014~2017年は)出ていないと思います。しかし大問一つ出た時に、さすがにすべては落とせないので、基本事項までは抑えておきたいところです。
お役立ちサイト紹介
参考書での独学のみだと理解するにはかなり難しいときがあるので、ネット上で分かりやすい記事を探して参考にしてます。個人的によく使ったサイトを紹介してみます。他にお勧めサイトあったら是非教えていただきたいです。
統計WEB - 統計学、調べる、学べる、BellCurve(ベルカーブ)
勉強始めた頃によく見ていたサイトです。統計学における基本事項から丁寧に学ぶことができます。図やグラフも使ってくれたり理解を助けてくれるのがありがたい点です。統計検定2級くらいまでの内容であれば、このサイトからある程度勉強できるようです。ただ、1級となると細かい数式が不足していたり足りない部分があるので、序盤で使うことをお勧めします。
高校数学の美しい物語 | 定期試験から数学オリンピックまで800記事
テーラー展開だとかガウス関数とか、行列のクラメールの公式とか、、、統計検定1級になってくると数学の基本事項で困ることが結構多いので、そういうときに記事がめちゃくちゃ役に立ちます。数式も比較的簡易で分かりやすいです。
アタリマエ!|当たり前だけどアタリマエじゃない事を、アタリマエにする
統計に関連した数学用語を分かりやすく解説していただいているサイトです。こちらも式が簡単で見やすく、初めて知る事項をまず確認するのに役立ちます。
有意に無意味な話 | 統計、データマイニング、最適化など世の中の95%以上の人は関心を持たなさそうな話を書いてます
個人のブログです。統計検定1級合格までの記録や出題傾向など。参考になります。
こちらも個人ブログです。なんと文系でありながら独学で合格している様子(!)。うらやましい限りです。統計検定1級過去問の解説と良く問われる内容の対策記事が書いてあります。あんまり過去問の解説もいいサイトがなかったのでくじけそうでしたが、このブログを読んで、過去問の勉強をすることで初めて1級を目指そうと思えました。
臨床研究のe-learningサイトです。検定1級の統計数理というよりは、統計応用で役立ちます。専門家の講座が見切れないほど大量に載っておりユーザー登録で無料で使えます。医学関係+統計の勉強をしたい、という方にはものすごくお勧めします。
京都大学が無料公開している臨床統計家のための講義ビデオも上のサイトと同様に医学者向けのものであるため、医師で統計を学びたい人には役立ちます。
使ってみた参考書
色んなブログやサイトでお勧めされていたものを買いあさってます。使ってみた感想と難易度を合わせて書いていきます。
まずは公式問題集と教本から。
『統計検定1級・準1級公式問題集』
『統計学 統計検定1級対応』
問題集は2年ごとに内容が載っています。解説はそこまで充実しているとは言えませんが、、、(笑)。 教本はコンパクトに出題範囲がまとめられていますが、コンパクト過ぎて初学者には向きません。後から見直すには向いてます。統計検定の内容確認のためには買った方が良いかなというところです。
難易度★★☆
久保川達也著『現代数理統計学の基礎』
超オススメです。 対策系のブログなどでも紹介されており買いましたが、ベースは全てこの1冊でやっています。後半の重回帰分析などの話になってくるとちょっと記載も少ないので不十分ですが、出題範囲の①~④までは十分に使っていけます。練習問題も豊富にあり、解答も用意されているため、力もつくこと間違いなしです。
比較的式もきちんと説明してある方なようですが、それでも初学者にはかなり難しい部分が多いので理解できない部分は補助的に他の本を買いながら勉強するスタイルを推奨します。
難易度★★★
竹村彰通著『現代数理統計学』
『現代数理統計学の基礎』で分からない部分の補助で使いましたが、分からないときにこれをみても結局分からないことも多く、せっかく買いましたがそこまで使ってません。説明の分かりやすさは同等ぐらいというところでしょうか。
難易度★★☆
D.A.ハーヴィル著『統計のための行列代数 上』
タイトルとブログなどでのお勧めをみて買いましたが、内容が重たいです。 「統計のための」とありますが、基本的に統計学の話は出てこず、”統計に関連した”行列の式や性質などがぎっしり書いてあります。ただ、統計検定1級で出てくるレベルの行列であれば、他の本でも勉強しておけば対応できるのではないかという気がしないでもないです。行列の微分とかは他の本でなかなかみられないので、そのあたりをきちんと突き詰めるならアリかなという気はします。今後使うのかも。
難易度★★★
薩摩順吉ら著『キーポイント線形代数』
タイトルのとおり、キーポイントのみをまとめた比較的薄めの1冊です。クラメールの公式とか逆行列、行列式などその辺の基本事項を学ぶにはこれで十分です。高校・大学1年生時代にやったきりなので、もう忘れてますからね・・・。
難易度★★☆
小西貞則著『多変量解析入門ー線形から非線形へ』
重回帰分析の理解が『現代数理統計学の基礎』ではうまくできなかったのでこちらを購入しました。式も結構書いてあるうえ、説明文やグラフ、具体例も多いので、分かりやすいです。カバー範囲は広くロジスティック回帰分析から延々と広がっていくので、実はまださほど読んでいません。 統計検定の数理分野であれば、重回帰分析のところは役に立つので、まずそれだけのために買っても良い気はします。
難易度★★☆
石村貞夫ら著『入門はじめての統計的推定と最尤法』
統計推定と最尤法の話は、普段医学分野で使う仮説検定ともまたちょっと違う分野なので、『現代数理統計学の基礎』を読んでも理解がしにくく、これを買いました。最尤法の意味を理解しつつ簡単な練習問題もあるので、やりやすいです。初学者でも使いやすいので、そこまでしっかりは読み込みませんでしたが、理解には役立ちます。
難易度★☆☆
栗原伸一著『入門統計学 -検定から多変量解析・実験計画法まで-』
確率分布の話から仮説検定、分散分析、判別分析まで幅広くカバーしています。特に分散分析のあたりは、初心者に分かりやすい本があまり見つからなかったので、役立ちました。数式も解説してくれていますが、文章が主体なので、説明が多くて分かりやすいです。数理統計としてガチになればなるほど、数式の割合が増えてくるので、文章が多いほうが初めて理解するには、ありがたいですね。
難易度★★☆
竹内淳著『高校数学でわかる統計学-本格的に理解するために』
かなり初めのころに買いました。題名の通り、高校数学で十分理解できるようにかみ砕かれた数式で統計学を学びます。不偏推定量や確率分布あたりの話がやっぱり最初は理解しにくいので、まず概念をつかみつつ、式との関連を学ぶ意味で役立ちます。入門書として最初の方に読んでみることをお勧めします。
難易度★☆☆
高橋信ら著『マンガでわかる統計学』
マンガでわかるシリーズの中でも高評価を受けているのがこちら。確率分布や相関係数などなど、出題範囲の ①~②における分野を学べます。これも買うなら最初のうちの導入としてオススメします。細かい式変形や証明はあまり出てこず、具体的な使用方法がメインです。
難易度★☆☆
高橋信ら著『マンガでわかる統計学 回帰分析編』
同じシリーズの回帰分析編です。これも回帰分析の導入にはうってつけ。表紙でみえるほど読者に媚びたマンガではありません(笑)
難易度★☆☆
三中信宏著『統計思考の世界~曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』
統計関連の読み物として。少し勉強してから統計の世界を俯瞰するのに役立ちます。式の少なめな読み物なので、「統計って何をどう考えているのか」ということを理解するのに良いです。ブートストラップ法の意味を理解するのにも分かりやすかったですし、赤池情報規準の証明の記事はこちらの本を参考にしました。検定に必須ではないですが、理解を深めるための1冊です。
難易度★★☆
小島寛之著『完全独習 ベイズ統計学入門』
ベイズ統計学について0から学べる一冊。この本が特に良かったのはよくあるベイズ統計の初歩(検査の事前確率・事後確率といった陽性陰性2値の話)から連続的である確率分布に対してのベイズ法の適用まで書いてくれているところです。事前分布がベイズの法則を使って事後分布にどう変化していくのか、頑張って図解で説明してくれており、ようやく理解が進みました。他のもっと初歩的なベイズ統計の本ではそこまで説明してくれていなかったので、ありがたい限りでした。
難易度★☆☆