脳内ライブラリアン

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「現象学」について学び始めたい人に紹介する本3冊+α

現象学エドムント・フッサールに始まり、ハイデガーメルロ=ポンティサルトルと幅広く使われていった学問であり、思考のスタイルです。

 

こちらの記事で内容について紹介しています。

【意見対立の解消に役立つ】エドムント・フッサールと現象学① - 脳内ライブラリアン

 

そこで、現象学について学び始めてみたいという人にお勧めの本を紹介します。

 

 

1、竹田青嗣著『現象学は<思考の原理>である』

現象学は思考の原理である (ちくま新書)

現象学は思考の原理である (ちくま新書)

  • 作者:竹田 青嗣
  • 発売日: 2004/01/10
  • メディア: 新書
 

現象学の本質について簡単に分かりやすく解説してくれる本です。竹田先生の本は他にも何冊も読んでいますが、とにかく表現が平易で分かりやすい!本書でもフッサールの表現が「悪い」「分かりづらい」「誤解を招く言い方しかしてません(笑)」というように読者の気持ちに寄り添ってもらえます(笑)。原著を引用しつつも、分かりやすくした解説を加えて頂けるため、入門の本としてはうってつけだと思います。

 

前半で、最も根本的な考えである「現象学的還元」について。後半では「言語学」「欲望論」との関係性も解いていきます。

 

2、木田元著『現象学

現象学 (岩波新書)

現象学 (岩波新書)

 

もう亡くなられた方ですが、現象学を専攻とした哲学者、木田先生が書かれた本です。前半部分でフッサール現象学がどのように形成され、変化していったか、そして弟子であるハイデガーとの関連も含めて書かれています。後半ではサルトルメルロ=ポンティとの関連性も紹介されます。1に比べるとかなり難しいですが、当時の時代背景などより細かい話が書いてあります。思考のスタイルを掘り下げて分かりやすく解説した1とは違う意味で現象学の流れを知ることができると思います。

 

 3、榊原達也著『医療ケアを問いなおす- 患者をトータルにみることの現象学

これはちょっと番外編で医療従事者向けです。

 

医療における立場から患者さんにとって本当良い治療とは何か、を現象学を使って捉えなおした本です。医師の側から見た”自然科学的・客観的な態度”である「疾患」と患者さんが持つ”主観的な意識体験”である「病い」とは意味が異なります。本来治すべきは「病い」であり、現象学的還元を用いて、その方法を解説していきます。

 

前半部分ではフッサールハイデガーメルロ=ポンティ現象学を概説し、その後は実際の用い方をまず簡単に紹介。後半では、アメリカの看護学者ベナー(Patricia Benner)の看護論に則って現象学とケアとのさらなる詳細な関連を、①身体化した知性、②背景的意味、③気遣い、④状況、⑤時間性にわけて説明します。医師にも役立ちますが、後半は看護論に大半を割いており、看護師さんにもぜひ読んでほしい一冊だと思います。

 

4、苫野一徳著『どのような教育が「よい」教育か』

どのような教育が「よい」教育か (講談社選書メチエ)

どのような教育が「よい」教育か (講談社選書メチエ)

  • 作者:苫野 一徳
  • 発売日: 2011/08/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

こちらも番外編です。現象学ヘーゲル哲学を使って「真に良い教育とはなにか」の共通了解を組み立てています。現象学の応用方法として分かりやすく参考になります。教育問題も考えてみれば2つのイデオロギーの衝突だらけです。個性重視vs平等、自分で考えるvs知識詰め込み、などなど 。著者によれば、ここで正しい方向に導いてくれるのがヘーゲル哲学による「自由」の考え方とそこに基づいた現象学的還元です。主に公教育について語られていますが、教育関係者でなくて、自身が教育を受けただけでも読んで十分納得できます。

 

 

(2020.08.11 最終更新)