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映画と漫画から文章を学べ「20歳の自分に受けさせたい文章講義」

皆さんは文章力に自信があるでしょうか。僕はありません(笑)

 

最近毎日更新するようにしているのですが、どうも文章が乱れがちで、論理構成がままならないまま書いてる部分があるなあという印象です。

 

あくまで書く練習中という側面もあるのですが、一度これは顧みるべきかと思ってこの本を読みなおしました。

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

  • 作者:古賀 史健
  • 発売日: 2012/01/26
  • メディア: 新書
 

 

この方はプロのライターで、ベストセラーとなった岸見一郎/古賀史健著『嫌われる勇気』 でも文章構成を行っています。

 

とても分かりやすく、かつ比喩を巧みに用いて良い文章について書かれており、良かったので役に立った部分を抜粋しつつまとめます。

 

目次:

 

1.映画と漫画から文章を学べ

 これは本の中身にそういう章構成があるわけじゃないんですが、映画や漫画・ドラマなどを喩えとして多用されており、筆者も「参考にすべき」といっています。

 

この主張が説得力があるのは、実際映画や漫画はより多くの人に理解されやすく、社会現象も頻繁に起こしているということ。もちろん文章にはない映像による効果があるとは思いますが、その構成の明快さには学ぶべきところがあると思われます。

 

では映画や漫画を具体的にどう文章に生かすのか。役に立った部分を取り上げます。

 

絵コンテを作る

映画だと絵コンテを作ってストーリーの流れや場面設定を確認していきます。筆者はこれを文章の構成にも応用することを勧めています。つまり、ストーリーライン=論理の流れを作ると良いということです。

 

論理の流れを作るというのは、それぞれのアイディアや意見の接続詞を可視化するということのようです。紙に思いつくアイディアと関連したキーワードなどを書き出し、その関係性を矢印でつなぐという単純なものです。これをすることで論理の流れが分かりやすくなり、書く際にも校正の際にも確認が容易になります。

 

以前紹介したWebライティングの本ではマインドマップを紹介していました。

記事自体のアイディアを決めたり、集めたりする、材料集めにはその手法が良いですが、論理の枠組みを作るにはフローチャートのような図のほうが良いと思われます。

 

カメラの視点を意識する

映画のカメラの視点を一度想像してみます。たいていの場合、まず引きのカメラ(客観)から始まり、冒頭はどんな場所でどんな状況か、描くところから始まります。そして次に主役に寄ったカメラ(主観)となります。主役の戦いや心の動き、人々との会話を主観を通して観ていきます。そして最後、終わりのシーンでは再度引きのカメラとなり(客観)かかわった人々や世界がどうなったかがみられます。

 

例外はあるものの、実際こういった客観-主観-客観のカメラワークは観たことがあるはずです。これを文章構成に当てはめるというのが、筆者の主張です。つまり背景(客観的事実)→仮説(主観)→結論(客観的事実)という流れですね。

 

これは実は論文も同じで、背景→方法・仮説→結論が基本的な流れとなっています。説得力のある文章はいずれも同じ形態で書かれるということが分かります。

 

細部を書く

細かいところを描くのは映画や漫画において重要です。小道具だったり、背景だったり、世界観の設定であったり。逆にこの細かいところが抜けていると急にがっかりしてしまいます。

 

細部を書くことの意味は、リアリティを出すことで説得力が増すことです。例を出したり、データを出したり、細部を充実させることが文章により人を動かす力を持たせます。  

 

2.徹底的に読者の視点に立つ

まず、この本で推奨されているのは「10年前の自分」と「たった一人のあの人」に向けて書くということです。

 

「10年前の自分」は自分が最も理解しやすい読者であり(当然、自分なので)かつ意外と普遍的なものでもある、と言えます。なぜなら人の悩みというのは思った以上に同じようなもので、昔の自分と同じ悩みを抱えている人は世界を探せばたくさんいるからです。

 

そして「たった一人のあの人」というのは具体的に設定を絞った特定の人、ということです。読者を絞った専門性の高い文章のほうがエッジが効いていて読んでいて面白いですし、実際ブロガーの本でもよく推奨されています。

言葉のベクトルがはっきりするため言いたいことが伝わりやすい、というのがポイントのようです。

 

ただ、ここで問題となるのは人を絞りすぎると専門用語であふれかえり、たいていの人に理解できなくなってしまうということです。そこで筆者は第3の読者を想定します。これはその分野に全く理解のない人のことで、そんな人でも理解できるようかみ砕いた内容にすることを推奨しています。この2つは矛盾しているようですが、内容の方向性と専門用語を避けるという点は自分の理解が深ければうまく両立させることができると思われます。

 

3.校正について

文章を書き終えたら校正を行い、できうる限り原稿にはハサミを入れて、引き算をすべきだと主張されています。ここでも映画の例を考えると、映画には未公開シーンなるものがたくさんあります。長くなりすぎると冗長になり、観る人の集中力をそぎます。本当に必要な文章か、考える。これが校正の作業の本質です。

 

上記に挙げた絵コンテを使って、論理関係の再確認をするのが良い方法です。論理のつながりが明確かどうかを見直します。例えば日本語の文章で起こりがちなのは、きちんとした接続詞を使わず、「が」を多用してつないでしまうということ。~が、という文は使いやすいものです。ただ、論理関係が順接なのか逆接なのか分からない場合が多くあり、多用はしない方が無難と思われます。

 

こうして見直した論理をもとに、不要な部分は切り取ってリズムの良い文章を作り出すことが必要です。

 

 

この本にはまだまだ重要な文章の書き方のポイントがたくさん書いてありますので、文章をうまく書きたい、という方にはぜひオススメしたいです。今後はこれを参考に実際にノートをつかって論理構成をしつつ書いてみようと思います。