サイコホラーとコメディの絶妙なハーモニー「人魚姫のごめんねごはん」野田宏、若松卓宏
堅めな記事ばっかりなのでたまにはマンガの話でも。
最近はコロナによる外出自粛の影響で
オンラインのマンガもタダで読める量を増量されていることが
多いです。
読み直してもやっぱり面白いな、と思ったので
いまさらながら「人魚姫のごめんねごはん」について語ります。
「やわらかスピリッツ」にて
現在も30話まで一気に読めますので未読の方はぜひ。
どんな話?
人魚姫のエラは友達であるおサカナたちと海の底で暮らしています。
時折人間に釣りあげられるお友達をエラ姫は地上に出て弔いに行きます、、、
と思いきや実はエラ姫は地上で調理されてしまった
お友達(魚)を食べており、それがやめられない止まらない
というサイコパスな話です。
”リトル〇ーメイド”でアリ〇ルがおさかなとかセバスチャンとか
こっそり食べている、のと全く同じです。
相当サイコな話です。
一線を超えすぎている、という面白さ
基本的な話の流れは
お魚もしくは地上の人間のちょっとしたいいエピソード
↓
エピソードがおさまったところで魚釣られる
↓
エラ姫が食べる
↓
レシピ紹介
↓
オチ
という流れです。
どんなにいいエピソードがあろうが
最後にはエラ姫がエピソードの主人公となる魚を美味しくいただく
という流れは変わりません。
一瞬、エラ姫が友達を食べてしまうのにも理由があった!?
と思わせる話もありますが
実はそんな理由もなく、ただひたすらに彼女は魚を食べるのが
好きなのです。
どんなエピソードがあろうが
いい話があろうが、自身の食欲を抑えられないエラ姫は
正直笑えます。怖いけど笑えます。
ホラーとコメディの絶妙なマッチング
こどもができてからというもの、全然見られないのですが
個人的にはB級ホラーとか好きなんです。
殺人ピタゴラスイッチと言われる
ファイナルシリーズとか
1作目はサイコサスペンスっぽかったけど
段々とネタっぽくなってきたSAWシリーズとか
結構全部観ているんですけど
ホラーも一線を越えすぎると何か笑えてくるんですよね。
エグいんですけど、あまりにも常識で考えるものから
解離しようとしてくるのでそのズレが滑稽に見えてきます。
ホラーとコメディって遠いようで
どちらも現実からの絶妙なズレがあるという点では
一歩超えると非常に近いんじゃないかと感じます。
主人公は多くを語らない
主人公はエラ姫ではあるのですが
エピソード毎に主役となる魚(食材)がいるので
そこまでエラ姫の心境は多く語られません。
だからこそ不気味で笑える、というところはあるでしょうし
魚の世界が題材だからこそ共食いと言われても
まあ笑える部分があるのかなと思います。
1話目を連載当時読んだときには
イロモノ感と、どう続くのだろうと思ってましたが、
共食いって、どう考えてもサイコホラーなテーマを
切り口によってこうもうまくブラックな笑いに変えられるのかと
鮮やかさに感心する作品でした。
無料で読めるうちにぜひどうぞ。