脳内ライブラリアン

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医療、統計、哲学、育児・教育、音楽など、学んだことを深めて還元するために。

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医学

超急性期脳梗塞における血栓回収vs血栓回収+t-PA(アルテプラーゼ)のRCTたち【JAMA/NEJM】

久々に脳神経内科・脳外科専門の話題を書きます。 つい先日1月19日付でJAMAに(しかもJAMA Neurologyとかでもなく)脳梗塞に対する脳血栓回収vs脳血栓回収+tPA療法のRCTが2本載ってました。しかも1本は日本発。 以前にNEJMに同様の論文が載ってましたが、今…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅤ -RMST法(Restrictive Mean Survival Time)-

昨年11月NEJM誌に出た「生体弁に対するDOAC vs ワーファリン」のランダム化比較試験を読みました。 Rivaroxaban in Patients with Atrial Fibrillation and a Bioprosthetic Mitral Valve ここで使われていた生存時間解析の方法はいつものCox比例ハザード回…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅣ -欠測データの扱い/ LOCF法-

前回メタアナリシスの欠測データの問題点について書きましたが、RCTの論文で実際に欠測データがどうなっているのか、例を一つ見てみます。「欠測データがどんなもので、どう処理されているのか」に注意することは結果の解釈に大きな影響があると思います。 …

メタアナリシスについてより詳しく学ぶ②-欠測データの問題-

前回記事に引き続いて、メタアナリシスの解釈について読む側の視点でまた少し掘り下げてみたいと思います。 前回記事はこちら medibook.hatenablog.com 今回は欠測データの話です。欠測データがメタアナリシスに及ぼす影響について、BMJから今年面白い論文が…

【follow-up】フォローアップ【医学論文の英語表現】

ちまちま英単語の記事を挙げていきます。そのうち増えてきたら、まとめを作る予定です。 目次: 単語の意味と共起表現、クラスター 用例 単語の意味と共起表現、クラスター 日本語でも使われる”フォローアップ”と同じですね。外来通院のフォローと言う意味か…

【regarding】~に関して/~において【医学論文の英語表現】

論文書きながら調べた表現についてまとめます。今回は"regarding"です。 目次: 単語の意味と共起表現、クラスター 用例 単語の意味と共起表現、クラスター 「~に関して」「~の点で」などの意味を持ち、文頭に来ることもあれば、文中で形容詞的に名詞の補…

【resolve】症状に関する英語表現・~が改善した【医学論文の英語表現】

最近は真面目に(?)症例報告作成に取り組んでるのでなかなか更新できませんでしたが、論文書きながらみてきた英語の一部をまとめていきます。 今回は"resolve"です。 目次: 単語の意味と共起表現、クラスター 用例 単語の意味と共起表現、クラスター resolv…

Cox比例ハザード回帰モデルについて数式ありで、できるだけわかりやすくまとめる

ランダム化比較試験で非常によく出てくるCox比例ハザード回帰モデルですが、その概念って結構理解しづらいように思います。数式だけの説明だと分かりにくいし、なしだと何となく理解できてるのかもやもやする感じになる(あと欠点やモデルの問題点が分からな…

【diplopia】症状に関する英語表現・複視【医学論文の英語表現】

ちょっとニッチすぎてコーパスですらあまり引っ掛かりませんが、diplopia(複視)に関する表現をみてみました。もう少し一般的な用語ではdouble visionと言ったりもしますね。 目次: 単語の意味と共起表現、クラスター 用例 単語の意味と共起表現、クラスター…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅢ-REWIND trialのexploratory outcomeについて-

実際の論文をみて学んでみる記事シリーズです。今回は統計というより論文の読み方に近いかもしれません。ランダム化比較試験に対して、批判的な目を養おうということで、結果の信頼性について具体例を通じて、批判的にみる練習をしようと思います。 前回はこ…

メタアナリシスについてより詳しく学ぶ①-fixed effects model, random effects modelと異質性-

今回の記事ではメタアナリシスにおける異質性の評価について説明していきます。 メタアナリシスを読む上で、研究ごとの異質性が取り扱われているか、そしてそれが小さいのかどうかはチェックしておきたい項目です。非常に簡単な異質性についての説明は以前に…

【show/reveal/demonstrate】MRI/CTなどの画像検査結果の説明【医学論文の英語表現】

今日はよく必要となる画像検査の結果に関係する動詞の表現に着目してみます。 目次: 単語の意味と共起表現、クラスター 用例 単語の意味と共起表現、クラスター MRI, CTなどの画像検査と一緒に使われる共起表現としてshow(~は~を示している)/reveal(~は…

【distinct】区別された/独立した【医学論文の英語表現】

ちょくちょく医学英語表現の勉強をしていきますが、今回は"distinct"について、コーパスでの情報と用例を見ていこうと思います。 目次: 単語の意味と共起表現、クラスター 用例 単語の意味と共起表現、クラスター distinctは明確な/別個のなどの意味を持つ…

BMI 35以上の患者では、超音波ガイド下の腰椎穿刺で成功率が上がる

今日は専門の話ですが、脳神経内科医に実用的で面白い論文を読んだので紹介します。 アメリカの脳神経内科学会であるAmerican Academy of Neurologyの出すNeurology誌の中でのNeurology clinical practiceに先月掲載された論文です。 Ultrasound-guided lumb…

【refer to】紹介された/~と呼ばれている【医学論文の英語表現】

前日にコーパスに基づいた英語表現の磨き方について書きました。 medibook.hatenablog.com そこで、論文を書くときに探した医学論文で使われやすい英語表現を、ストックしていこうと思います。 「~より施設に紹介された患者」や「~と呼ばれている」といっ…

論文の英語表現をコーパスを使って磨く方法

いざ文章を英語で書こうと思ったときに、適切な表現が分からず、書き方に困ることはよくあることかと思います。 自分の場合は論文を書くときにそういったことで良く困ってます。間違えると、内容以外の点でrejectの一因になってくるので切実です。 そこで、…

論文をrejectされた記念に、症例報告の書き方の本を紹介する

先日出したケースレポートが無事にrejectされました(泣 英文の症例報告はまだまだ初めてであり、超大手ジャーナルだったので、仕方ないと思ってますが、残念な気持ちにはなりますね。 査読者からも示唆に富むコメントが結構もらえたので、ひとまず出して良…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅡ②-イベント数/人年データをNNTに直す方法-

前回の記事からの続きで、ELDERCARE-AF studyを題材にして考えていきます。 実際の医学論文から統計を学んでみるⅡ①-ELDERCARE-AF study/ IPCW法- - 脳内ライブラリアン 臨床的に解釈のしやすいのはNumber Needed to Treat(NNT)ですが、このstudyのような生存…

実際の医学論文から統計を学んでみるⅡ①-ELDERCARE-AF study/ IPCW法-

前にも同じようなことやりましたが、最近読んだ論文から統計学的な手法の勉強をしたので、再確認しつつ紹介します。 論文の内容自体は、脳梗塞に対するDOACのstudyですが、日本国内のstudyで、かつ高齢者への今までにないエドキサバン低用量投与という興味深…

small fiber neuropathyのreview articleをまとめてみた

今日は久々に専門的な話題を。 small fiber neuropathyについて調べる機会があったので、review articleを中心にざっと読みました。前々から気になっていた概念でありながら、あんまり日本語で良い文章を今まで見つけられなかったので、誰かの役に立てば、と…

急性期脳梗塞の臨床試験の解析方法が分かりにくすぎるので、勉強した話③

前回記事で過去の急性期脳梗塞の臨床試験の問題点について、みてみました。 急性期脳梗塞の臨床試験の解析方法が分かりにくすぎるので、勉強した話② - 脳内ライブラリアン 次に↓のreview articleで紹介されている、問題点を解決するための解析方法について説…

急性期脳梗塞の臨床試験の解析方法が分かりにくすぎるので、勉強した話②

前回記事に続いて急性期脳梗塞の臨床試験の解析方法の話をします。 前回記事はこちら 急性期脳梗塞の臨床試験の解析方法が分かりにくすぎるので、勉強した話①【順序ロジスティック回帰分析】 - 脳内ライブラリアン なぜ前回解説した順序ロジスティック回帰分…

急性期脳梗塞の臨床試験の解析方法が分かりにくすぎるので、勉強した話①【順序ロジスティック回帰分析】

今回は脳梗塞診療に関わる臨床医師向けのせまいせまい話を通して、順序ロジスティック回帰分析の話を書こうと思います。 急性期の脳梗塞の論文って血栓回収にアルテプラーゼ、最近ではテネクテプラーゼと賑わいを見せ続けている分野だと思うんです。ただ、最…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方④

引き続きRCTの勉強を続けます。今回で最後になります。 前回記事はこちら ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方① - 脳内ライブラリアン ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方② - 脳内ライブラリアン ここまでは知っておきたい…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方③

コロナ感染者も増えており、4連休も結局どこも行けないですね。。。まあ、仕事もあってそもそもそんなに行けないんですが。 引き続きRCTの勉強を続けます。 前回記事はこちら ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方① - 脳内ライブラリアン こ…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方②

ランダム化比較試験の読み方・注意点を引き続きまとめてみます。 前回記事はこちら ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方① - 脳内ライブラリアン 今回は「患者の選出」 と「ランダム化」の部分についてです。 目次: 患者の選出基準をみる ラ…

ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方①

以前に一度メタアナリシスの読み方についてまとめました。 medibook.hatenablog.com 引き続いて今回は臨床試験の王道であり、メタアナリシスに次ぐエビデンス力の持ち主である、ランダム化比較試験(Randomized Control Trial)についてまとめてみようと思いま…

脳波について自習してみる④ -眼球運動と耳朶の活性化-

雨ばっかりで通勤中の読書ができないことに苛立ちを感じる日々でしたが、ようやくちょっと曇りとか晴れがみえてきて嬉しい限りです。 今回は脳波の自習内容。アーチファクトの中でも多くみられる眼球運動の見方と耳朶の活性化という現象についてみてみます。…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方⑤ -研究の異質性-

今回で最後です。 研究毎の異質性の評価について書きます。 前回までの記事はこちら ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い- - 脳内ライブラリアン ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読…

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方④ -フォレストプロット-

引き続きメタアナリシスの読み方です。 よく使われるフォレストプロットの見方・結果の解釈について書きます。 以前に論文データのブログでの引用と著作権の問題について書きました。”引用”なら可能なのですが、この記事で果たして良いのか微妙なところに思…