脳内ライブラリアン

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コロナウイルスPCR検査の保険適用に向けて

Yahoo newsの記事コメント欄をみていて

不安になったので書きます。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

本日からコロナウイルスPCR検査が保険適用になるということですが

このニュースに書いてある通り

保健所にまず連絡→受診機関の案内→検査

という流れは変わらないようです。

 

今までは保健所→受診機関→検査を保健所に相談→検査

だったので医師側のステップとして変わるのは

保健所への相談がなくなったところでしょうか。

 

 

で、コメント欄みると(こういう人が一部とはいえ)

たまにメディアでも言われる

「なんでもっと検査を受けさせないのか」

「結局保健所挟むのか」論調の人がいるんですが

こういった検査に対しての抑止力・スクリーニングを

医療機関以外が行うことは絶対に必要です

 

 

なぜか、といえば

医師も患者もピンキリだからです。

 

例えば以下のような世界なら医師が自由に

検査をしてもいいかもしれません。

 

世の中の医師がすべて優秀で

検査感度が低いことを熟知しており

コロナウイルスの検査所見をよく理解し

検査の事前確率(病歴やほかの検査所見から割り出す病気の確率)を

きちんと推定できる

 

患者さんも人に感染させないことを考え

若年軽症者は家で隔離されたうえで養生し

高齢者で呼吸困難を伴ったり、全身状態が悪くなったときにのみ

きっちりと周りへの感染を予防したうえで

医療機関を受診する

 

そんな世界なら検査は大いに自由にやれば良いですが

そんなわけはない。

 

 

医師も事前確率も何も考えずに患者希望で検査をする人もいれば

患者さんも、不適切な受診をすることは当然ある。

今回のようなパニックに近い状態では、起きてもおかしくないことで

医師が悪いとか患者さんが悪いとかそういう話ではないと思います。

 

それが起きた場合に、医療資源が枯渇して本当に必要な検査が停滞すること

外来で感染が蔓延することは必発なので

これだけは絶対に避けなければなりません

 

ある程度の感染経路・クラスターの把握は必要としても

基本的に重症化していない患者さんについては

検査の資源を割くメリットがないので

きちんとやらないように区分することが必要です。

 

また、検査陰性をかかっていない証明かのように思う人もいますが

感染早期ではわからないことと、感度がそもそも100%ではない時点で

検査が陰性でもかかっていないとはいえない(偽陰性)ということも

知っておいてもらいていことです。

 

こういったことを伝えているニュースも多くありますが

不安の波に飲まれてしまっては声も届かなくなってしまうので

今後の爆発的な感染と院内感染による被害拡大を防ぐためにも

少しでも多くの人に知っていただきたいと思います。

 

 

追記:

北海道の先生が意見を書かれていましたが

これは全くその通り

保険適用によるデメリットのほうがよほど心配です

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也|Web医事新報|日本医事新報社