脳内ライブラリアン

読書した本や学んだことをまとめつつ記事に。職業は医師なので医療絡みがメイン。

人を変えたいと思ったときにどうするのか? 対人関係をよくするために②

前回の記事で人と意見がぶつかったときには内発的動機で

変わってもらうしかない、そのためにはまず自分が変わってみるしかない

ということを書きました。

 

そこでまず必要なのは自分はどのようにして変わるかということです。

「自分が正しい!」って思ってたら変わる必要なんてないわけですが

果たして自分は正しいのか、という以前に自分の主張はまず何なのかを把握する

必要があると思います。

3、自分の価値観に気づく

 

そんなの自分のことだからわかるよ、って思うかもしれませんが

意外と自分がなぜそう主張するのか気づいていないことは多いんです。

 

例えば、研修医のころ、うつ病の人の集団カウンセリングに

参加したことがありました。

 

ある出来事に対して自分がどう感じるか、どんな対処をするといいのか

をみんなで意見を出して考えるというものでした。

その時のお題は「車で制限速度を守って走行していたら後ろからクラクションを鳴らされて追い抜かされた」という出来事。

 

さて、皆さんはどう感じるでしょうか。

・こっちは法律を守っているのに腹が立つ

・あおられて怖い思いをする

といった意見や

・怒っても損なのでじっと耐える

・助手席にいる妻に八つ当たりをする

などの意見も出ていました笑

 

人によって感じ方も様々ですが、例えば最初の意見であれば

「法律を守ることが正しい、守らないことは怒られてしかるべき」

という考え方が根底にあると思います。

 

逆に普段法定速度を守らず走る人はそんなことは思わずに

「もっと速く走ればよかったわ」

って思うかもしれません。

 

このようにある出来事に対して湧き出てくる『感情』は『スキーマ』と

呼ばれる考え方の”クセ”のようなもので生じてきます。

 

さらに元をただせばこの『スキーマ』も今までの経験から

何らかの自分の利得・目的があって形成されたものであることが多いです。

 

例えば先ほどの「法律を守っていることは正しい」というスキーマ

以前にスピード違反で検挙されて手痛い罰金を喰らったからかもしれませんし

あるいは、運転自体に自信がないのでゆっくり走ることを正当化(もちろん

法定速度で走るに越したことないのですが)したいのかもしれません。

 

時には自分のスキーマを正当化するために過去の経験を

無意識に抽出したりすることもあります。

例えばフラれた相手のことを悪く言ったり、というのはわかりやすい例でしょうか。

相手に振られる→自分は悪くないというスキーマ→正当化するために

相手の悪い点を抽出して思い出す

という形です。

 

厄介なのは自分で自分のスキーマに気づくというのが時に困難なことです。

そりゃ自分で認めたくもないような考え方もありますしね。

効果的なのは「書き出してみる」こと。

 

実際に文章にしてみることで客観的にみることができ、もやもやしたものを

言語にすることで具体的に考えることができます。

おすすめの方法としては心にもやもや引っかかっていることの

感情を書き、なぜそう感じたかを書き、そのもとになる考え方を書き

さらにその考え方をすることで何が自分のメリットとなっていたのかを書くこと。

最低でもこの4つを掘り下げることで自分の考え方を客観的に認識できるようになります。

 

4、自分の価値観を認める

 

これが全編を通して最も重要なことかもしれません。

先ほどの方法で気づいた自分の価値観をまずは認めること。

後々には多少変動することもありますが、自分はどんな考え方をしていたって

いいときちんとまず褒めて、安心させることが第一です。

 

なぜなら自分を認めないことには自分が幸せになれないですし

自分を認めないことには相手を認められないからです。

 

ドイツの精神分析・哲学者であるエーリッヒ・フロムは

著書「愛するということ(The art of loving)」でこう述べています。

 

”自己愛。私自身も他人と同じく私の愛の対象となりうる。

自分自身の人生・幸福・成長・自由を肯定することは自分の愛する能力

すなわち気遣い・尊敬・責任・理解に根差している。

もしある人が生産的に愛することができるとしたら

その人はその人自身をも愛している。”

 

考えることは自由です。

自分を認めることは思いのほか難しいですがまずはここから始めましょう。

 

次回③に続きます。